学校や仕事が忙しかったり、歯医者が苦手だったりして、つい虫歯を放置してしまうことがあります。放置するとどのようなことが起こるのかご説明します。
目次
虫歯を放置することのリスクとは?
虫歯は、初期段階では自覚症状が少ないことが多く、痛みが出るまで気づかないことがあります。しかし、痛みが出る頃にはかなり進行しているケースがほとんどです。虫歯を放置することで、以下のようなリスクが生じます。
1. 歯の神経が侵される
虫歯が進行すると、歯のエナメル質や象牙質を超えて歯の内部にある神経まで到達します。これにより、強い痛みを感じるだけでなく、神経が死んでしまう可能性もあります。
2. 歯が溶けてしまう
虫歯が進行し、歯の構造が大きく損なわれると、歯がもろくなり、最終的には崩壊することもあります。これにより、食べ物を噛む能力が著しく低下します。
3. 歯周病のリスクが増加
虫歯が原因で歯周病になることもあります。放置された場合、歯周組織に影響を与えることで、歯周病の進行が早まるリスクが高まります。
放置した場合の全身への影響
虫歯を放置することで、口腔内だけでなく全身に悪影響を及ぼす可能性があります。以下のような症状が起こることがあります。
感染症のリスク増加
虫歯が進行して歯根に達すると、細菌が血流に乗って体内に広がるリスクがあります。これにより、心内膜炎や敗血症といった深刻な感染症を引き起こすこともあります。
栄養バランスの乱れ
歯が痛むことで、食事の際に十分に噛むことができず、栄養を十分に摂取できなくなる可能性があります。これにより、栄養不足や消化不良が起こり、全身の健康にも影響を与えます。
免疫力の低下
虫歯が進行することで、慢性的な炎症が体内で起こり、免疫力が低下する可能性があります。これは他の病気にもかかりやすくなる要因の一つです。
放置した場合の一般的な影響
放置した場合の影響 | 説明 |
---|---|
痛みの悪化 | 歯髄炎や歯根膿瘍を引き起こす |
咀嚼障害 | 食事が困難になり栄養不足になる |
歯の喪失 | 虫歯が進行して抜歯が必要になる |
噛み合わせの問題 | 隣の歯や対向する歯が移動し、噛み合わせが悪くなる |
全身への影響 | 細菌が血流に入り、心臓や他の臓器に影響を及ぼす可能性がある |
虫歯が進行するとどうなるのか?
虫歯が進行すると、歯の痛みが起こったり、痛みのために噛めなくなり、食事がしづらくなります。最悪の場合は歯を失うことになります。
1. 歯に大きな穴があく
虫歯が進行していくと、歯の表面のエナメル質が溶かされ、歯の内部に穴があいて、どんどん穴が深く大きくなっていきます。
2. ズキズキと強い痛みが続く
初期虫歯の段階では痛みはありませんが、歯髄(神経)に達すると、ズキズキと強い痛みや腫れが起こります。痛み止めの薬を飲むことで一時的に痛みは和らぎますが、出来るだけ早く治療を受けることをおすすめします。
3. 歯の神経が死んでしまう
治療をせずに強い痛みを薬で抑えるなどして我慢していると、やがて痛みを感じなくなりますが、それは治ったのではなく、歯の神経が死んでしまったからです。この段階では歯がかなり溶かされてしまっていますが、まだ差し歯に出来る可能性がありますので、一刻も早く歯科を受診しましょう。
4. 歯の喪失
治療を受けずに放置すると、虫歯がどんどん進行して歯の大部分が溶けて失われ、最終的には抜歯が必要になる可能性があります。抜歯すると失った歯を補うためにブリッジ、入れ歯、インプラント等の治療が必要になります。
実際、虫歯をどれくらい放置するとヤバい状態になりますか?
虫歯を放置する期間が長くなると、さまざまなリスクが高まり、最終的には歯の保存が難しくなる場合があります。以下に、虫歯を放置するリスクとその進行段階について解説します。
1. C1段階(初期の虫歯)
虫歯の初期段階では、歯のエナメル質に小さな穴や白い斑点が現れます。この段階では、痛みや自覚症状がほとんどないため、気づかないことが多いです。放置すると、エナメル質の内部まで虫歯が進行し、次の段階へと進んでしまいます。
リスク
初期段階の虫歯であれば、フッ素塗布や適切な歯磨きで進行を食い止めることが可能です。定期的な健診が重要です。
2. C2段階(象牙質に達した虫歯)
虫歯が進行すると、歯の内部にある象牙質にまで達します。この段階になると、冷たいものや甘いものを食べたときに痛みを感じることがあります。
リスク
まだ神経には到達していませんが、放置すると痛みが強くなり、次の段階へ進む可能性が高まります。この段階では、一般的に削って詰め物をする治療が必要です。
3. C3段階(歯髄に達した虫歯)
放置するとヤバい深刻な状況は、このあたりからになります。虫歯がさらに進行して歯の中心にある神経(歯髄)に達します。これにより強い痛みが生じ、歯がズキズキとしたり、何もしなくても痛みを感じることがあります。
リスク
歯の神経が炎症を起こすため、根管治療(歯の神経を抜く治療)が必要になります。この段階では、治療が遅れると歯の保存が難しくなり、最悪の場合、歯を抜かざるを得なくなることもあります。
4. C4段階(歯冠が崩壊した状態)
ここまで放置してしまうと、手遅れになる場合があります。虫歯が歯全体に広がり、歯冠が崩壊してしまう状態です。この段階では、歯の根の部分しか残っていないことが多く、強い痛みや腫れを伴います。また、歯根に膿が溜まることもあり、多くの場合、抜歯以外に方法がないということになります。
リスク
歯の保存はほぼ不可能で、抜歯が必要になる場合がほとんどです。さらに、周囲の歯や歯茎にも悪影響を及ぼし、歯周病のリスクも高まります。
5. 全身への影響
虫歯を放置すると、局所的な問題だけでなく、全身に影響を及ぼすことがあります。特に歯根に膿が溜まると、細菌が血流に乗って全身に広がり、心臓や肺などの臓器に悪影響を与えるリスクがありますので、注意が必要です。
リスク
特に免疫力が低下している場合や、糖尿病などの持病がある場合には、感染症が重篤化する可能性があります。
虫歯を放置する時間が長くなるほど、歯の保存が難しくなり、治療の負担も増します。初期段階であれば、比較的簡単な治療で済む場合が多いため、定期的な歯科健診と早期治療が非常に重要です。
歯医者が怖くて虫歯を放置してしまった方へ
歯の治療が怖いとおっしゃる方は多くおられます。しかし放置すると歯を失うことに繋がるばかりか、全身にも健康リスクを招く可能性があります。
歯医者恐怖症の方に安心して治療を受けて頂くために、歯科医院では様々な取り組みを行っています。治療前にまずご自身の不安や希望を歯科医師やスタッフにしっかりと伝え、最適な治療方法を話し合って見つけていきましょう。
当院での取り組み
歯医者恐怖症の患者さんをサポートするために、当院では以下のような取り組みを行っています
1. 治療前に患者さんのお話をじっくりお聞きする
治療前に患者さんの不安や心配な点を詳しくお聞きして理解することで治療方針や進行を調整します。
2. 痛みのない治療を心がけている
歯の治療中は麻酔をしますので、痛みを感じることはありません。そして麻酔の注射も、表面麻酔を行ってから注射針を刺す、麻酔液を体温に近い温度に温めておく等、痛みの出ないような方法で行っています。
3. リラックスできる院内の環境
治療室のデザイン、BGM、照明等、出来るだけ患者さんがリラックスできる空間づくりに取り組んでいます。
4. 治療内容のご説明
治療の手順や使用する器具、治療の流れ、治療費を事前にご説明し、患者さんの理解と同意を得ることで少しでも患者さんの不安を軽減させられるように取り組んでいます。
まとめ
虫歯は酸によって歯に穴があき、進行していくと激しい痛みが起こり、そのまま治療しないでいると歯を失う可能性があります。早期発見することは大変重要で、セルフチェックもできますが、定期的に歯科健診を受けると虫歯や歯周病の予防も出来ます。
歯医者が怖い場合でも、当院ではコミュニケーションを重視し、痛みのない治療を提供する取り組みを行っています。ぜひ放置せず、早めに適切な治療を受けましょう。