審美歯科

セラミックの歯はダメなの?


セラミックの歯はどのようなものなのか、ダメという噂は本当なのか、心配な方もおられるでしょう。歯科でのセラミック治療について詳しくご紹介いたします。

セラミックの歯とは

セラミックの歯とは歯科用セラミックを使用した人工歯です。歯の美しさを追究する審美歯科や、一般歯科でも虫歯の治療の際の修復材料として採用されています。ただし、歯科用セラミックという材料が意外と分からないという方も多いのではないでしょうか。

セラミックの特徴

歯科で用いるセラミックの主な特徴を挙げます。

自然な色と透明感

天然歯に近い白い色調や質感を再現でき、見た目が自然であるため、人工歯と周囲にわかってしまう心配はありません。

耐久性が高い

適切なケアを行っていると、銀歯と異なり、セラミックは長期間(10年程度)使用することができます。

金属アレルギーのリスクがない

金属を使用しない材料であるため、アレルギーが心配な方にはとても安心です。

歯科用セラミック

歯科用セラミックの材料と言われるのは下記の三種類です。

ジルコニアセラミック

人工ダイヤモンドと言われるジルコニアは、硬度と耐久性に優れています。奥歯で使用できるセラミックです。ポーセレンと比べても強度がありますが、白さと透過度についてはやや劣ります。上下の歯の噛み合わせの状態を確認していれば問題ありませんが、噛み合わせが悪いまま入れてしまうと、対合歯を傷つける可能性があります。

ポーセレン

日本語では長石系陶材と呼ばれる材料です。洗面所やお茶碗などの材料とほぼ同じですが、ジルコニアに比べて人工歯の透明度が上がります。審美性に優れているため、前歯に使用できるセラミックです。ポーセレンは単体で使用するより、内側はジルコニアや金属にして外側にポーセレンを盛り付けるセラミックの歯にすることがあります。

ガラス系セラミック

二ケイ酸リチウムというガラス系セラミックを使用して作製する歯です。ガラスセラミックは他の二つに比べて光の透過度が大変高いです。天然歯と変わらない見た目であるため、ガラス系セラミックを前歯に使用したい方はとても多いです。

セラミックの歯がダメな理由

セラミックの歯にはメリットとデメリットがあります。今から挙げるメリットとデメリットについてご自身がどう思われるかということが大切です。

セラミックのメリット

セラミックのメリットを挙げていきます。

審美性が高い

見た目にこだわりたい方や、前歯の虫歯治療が目立つのはいやな方に適しています。セラミックは天然歯と差が見分けにくく、人工歯と天然歯が混在する歯並びでもきれいな見た目を保てて、口元を気にすることがありません。

変色しにくい

前歯であれば保険適用で樹脂を使用することが多いですが、保険適用内の樹脂は時間が経つと吸水性という特徴から変色を起こします。セラミックの歯は吸水性がなく、黄ばみが発生しにくいため、白く美しい見た目を長く保てます。

口腔環境に優しい

保険適用であれば奥歯は銀歯を選択する可能性があります。口腔内に露出している銀合金は唾液により溶け出してしまい、体内に蓄積します。その点セラミックはメタルフリーで金属アレルギーの心配がありません。生体親和性の高い材料であるため、口腔内の健康に配慮した材料です。

耐摩耗性に優れる

定期的にメンテナンスを行っていれば、長期間にわたってセラミックの歯の審美性や機能を維持できます。

セラミックの歯のデメリット

セラミックの歯にはメリットが多い一方、以下のようなデメリットや注意点もあります。デメリットが気になる方は、セラミック治療に慎重になるかもしれません。

コストが高い

健康増進のための治療に該当しないため、セラミックは保険適用されない材料です。銀合金や樹脂などでの虫歯治療に比べて、自費治療はコストが高くなる傾向にあります。患者さんの希望に添う歯を作るためには高度な技術を要し、歯科医師の技術力によって仕上がりが左右されることから、材料費や技術料が高くかかり、どうしても患者さんの費用負担が大きくなります。

割れる可能性がある

セラミックは硬度が硬い性質で、天然歯と見た目が似ていても異なる材料であるため、噛み心地や感覚に若干の違和感を覚えることがあります。反面、固い食べ物を急に噛んでしまったり、外傷で強い衝撃を受けると割れるリスクがあります。奥歯で使用する際、しっかりと上下の噛み合わせの調整を行う必要があり、噛み合わせが悪いまま使用すると、セラミックの欠けや割れ、もしくは対合歯が割れるリスクがあります。

神経を抜く処置が必要になる場合がある

土台の状態によっては神経を抜く治療(抜髄)が必要となる場合があります。神経を抜いた後の治療については個人差があり、治療期間や治療費が増える可能性があります。

セラミックの歯を長持ちさせるためには、定期的な歯科検診を受診しましょう。セラミックの歯の周囲が細菌感染すると歯の形などが変わってしまうからです。変わってしまった場合はセラミックの歯を再作製しなければなりません。

セラミックの歯を検討する際のアドバイスと代替案

セラミックの歯を選択する際は、今から挙げるポイントを意識しましょう。

事前に費用や期間を確認する

カウンセリングで見積もりを取り、治療にかかる総額や期間を理解しておきましょう。メリットのみではなく、デメリットを理解して納得したうえで治療を受けることが大切です。

歯科医師と十分に相談する

カウンセリングで自分の希望や不安、心配な点を伝えておきましょう。それにより、ドクターやスタッフから説明を受けられ、最適な治療法を提案してもらえます。症例経験は踏まえたうえで、歯科医師に対して些細な質問もしやすい雰囲気か、信頼できる医院かきちんと確認してください。

複数の選択肢を比較する

セラミック以外の治療法があるかどうか、またレジンや金属クラウンなどの治療法とセラミック治療はどのような点が違うかを確認しましょう。

ハイブリッドセラミック

セラミックと樹脂を組み合わせた素材で、耐久性とコストのバランスが良いです。ただし、経年劣化で変色をする可能性があります。

金属クラウン

見た目は虫歯治療をしたと分かりますが、強度という点ではセラミックより高く、奥歯に適しています。金であれば金属アレルギーのリスクは減りますが自費治療になります。銀合金であれば保険適用内で安く行えますが、だんだん溶け出して体内に蓄積するため、不安ではあります。

コンポジットレジン

比較的安い費用で、短期間で仕上がる材料ですが、大きな虫歯である場合や咬合力のある奥歯は外れる可能性が高く、不向きです。

セラミックの歯が向いている人
  • 見た目の改善を重視する方
  • 金属アレルギーがある方
  • 虫歯の再発を防ぎたい方
  • 長期間の使用を考えている方

いずれにしてもセラミックの歯のメリットを活かすためには、しっかりと治療計画を立ててもらいましょう。自分に合った選択肢を見つけるために、専門家のアドバイスを活用することが重要です。

まとめ


セラミックの歯の特徴やメリット・デメリットについて詳しくご紹介しました。見た目と機能性を両立させる優れた治療法ですが、注意点やデメリットも忘れずに検討しましょう。

この記事の監修者

医療法人真摯会
西宮クローバー歯科・矯正歯科 院長
廣石 勝也
朝日大学歯学部卒業。大阪歯科大学総合診療科臨床研修終了。国際口腔インプラント学会会員。

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