歯と口のトラブル

口の中を噛みやすい場合の原因は?

口の中を噛みやすい場合の原因は?

口の中を思いきり噛んでしまい、「痛い!」となった経験は、どなたにもあると思います。噛んだ部分が傷になって、しょうゆや熱い飲み物がしみて、しばらくの間は食事にも注意が必要です。

また、一度噛んでしまうと、その部分が腫れてさらに噛みやすくなるため、同じ場所を再び噛んでしまって、更に痛い思いをすることもありますよね。このように、一度嚙んだ場所は繰り返しやすいという特徴があります。実は、口の中を噛みやすくなるのにはいくつかの原因があり、それぞれに適した対策をとることで改善できる可能性があります。

口の中を噛みやすくなる原因と、その対策方法についてご説明します。

口の中を噛みやすい原因とは?

口の中を噛みやすくなる原因には、以下のようなものが考えられます。

1. 歯並びや噛み合わせの問題

  • 不正咬合(歯並びの乱れ)により、上下の歯が正しく噛み合わない
    → 歯並びが乱れていると、噛んだときに特定の歯が余計に当たりやすくなります。その結果、頬や舌の内側を巻き込みやすくなり、噛んでしまうことが増えます。
  • 一部の歯が突出しているため、頬の内側を巻き込みやすい
    → 一部の歯が飛び出している場合、その歯が頬や舌に頻繁に接触し、噛みやすくなることがあります。
  • 親知らずの影響で噛み合わせが変化している
    → 親知らずが生えてくることで噛み合わせがズレることがあり、その影響で口の内側を噛みやすくなることがあります。

対策
歯科医院で噛み合わせのチェックを受け、矯正治療が必要か相談しましょう。

2. 加齢による頬の筋力低下

  • 加齢によって頬の筋肉が衰え、内側に入り込んでしまう
    → 加齢とともに頬の筋肉が衰えると、食事の際に頬の内側を歯に巻き込みやすくなります。
  • 口周りの筋力が低下すると、噛む動作のコントロールが難しくなる
    → 口周りの筋力が弱まることで、食べ物を噛むときの動きが不安定になり、意図せず口の中を噛んでしまうことがあります。

対策
口周りの筋肉を鍛えるトレーニング(舌の体操や口を大きく開ける運動)を習慣にしましょう。

3. ストレスや疲れによる食いしばり・歯ぎしり

  • 強いストレスを感じると、無意識に歯を食いしばることがある
    → 精神的なストレスがかかると、無意識のうちに強く歯を噛み締めることが増えます。これにより噛み合わせが変化し、頬や舌を噛みやすくなることがあります。
  • 睡眠中の歯ぎしりにより噛み合わせが変化し、頬の内側を噛みやすくなる
    → 夜間の歯ぎしりが続くと、噛み合わせが乱れてしまい、日常的に口の中を噛みやすくなることがあります。

対策
リラックスできる環境を整え、マウスピースの使用を検討しましょう。

4. 口内の粘膜が腫れている

  • 口内炎やアレルギー反応による腫れで、噛みやすくなる
    → 口内炎やアレルギーが原因で口の内側の粘膜が腫れると、その膨らんだ部分を誤って噛んでしまうことが増えます。
  • 歯垢が溜まりやすい部分に炎症が起こり、口の中の形状が変わる
    → 口腔内の清掃が不十分だと、炎症が起こりやすくなり、腫れた部分を噛んでしまうことがあります。

対策
口腔内の清潔を保ち、炎症がある場合は歯科医院で診察を受けましょう。

5. 入れ歯や被せ物・詰め物の影響

  • 入れ歯や被せ物の高さが合っていないと、噛み合わせに影響を与える
    → 高さが合っていない入れ歯や被せ物があると、無意識のうちに噛み合わせがズレ、口内を噛みやすくなることがあります。
  • 片側の歯だけに過度な負担がかかると、頬を噛みやすくなる
    → 噛む際に片側に偏りがあると、頬の内側が巻き込まれやすくなり、誤って噛んでしまうことが増えます。

対策
歯科医院で調整を行い、正しい噛み合わせにしてもらいましょう。

口の中を噛まないための予防策

口の中を噛むのを防ぐために、以下の対策を試してみてください。

1. 歯科健診を定期的に受ける

  • 噛み合わせのチェックをしてもらう
  • 必要なら矯正治療や被せ物の調整を行う

→ 定期的な歯科健診が、口の中の健康維持に重要です。

2. 口の周りの筋肉を鍛える

  • 舌を上顎につけるように押し上げる
  • 「いー」「うー」と口を大きく開けて発声する

→ 筋力を強化することで、口内を噛みにくくできます。

口の中を噛むのを防ぐためには、日常的な意識と適切な対策の組み合わせが重要です。噛み合わせが悪い場合は定期的な歯科健診を受けることで、問題の早期発見と適切な処置が可能になります。また、口周りの筋肉が弱まると頬の内側を噛みやすくなるため、筋力を鍛えるトレーニングを日課にするとよいでしょう。

3. ストレスを管理する

  • 深呼吸やマッサージでリラックスする
  • 睡眠の質を向上させる

→ ストレス管理が、無意識の食いしばりや歯ぎしりの防止につながります。

ストレスを適切に管理することも大切です。ストレスによる無意識の食いしばりや歯ぎしりは、噛み合わせを悪化させる原因となります。日々の生活でリラックスできる時間を確保し、必要に応じて歯科医に相談してマウスピースを使用するのも有効です。

4. 口腔内を清潔に保つ

  • 毎日の歯磨きを丁寧に行う
  • 歯科医院で定期的に歯石除去を受ける

→ 口内の炎症を防ぐことで、噛みやすさを軽減できます。

口腔内を清潔に保つことも、口内炎や腫れを防ぎ、噛みやすさを軽減するポイントです。丁寧な歯磨きや定期的な歯石除去を行い、口の健康を維持しましょう。

5. 食べるときの意識を変える

  • ゆっくりと噛んで食べる
  • 鏡を見ながら口の動きを確認する

→ 食事の際に意識することで、噛む癖を改善できます。

食事の際はゆっくり噛むことを意識し、口の動きを確認しながら食べることで、噛む癖を改善できます。

口の中を噛んでしまったときはどうしたらいい?

万が一、口の中を噛んでしまった場合、適切な対応を取ることで早期回復を促し、痛みを和らげることができます。

1. すぐに清潔な水でうがいをする

  • 傷口に細菌が入り込むのを防ぐため、食塩水や口腔用のうがい薬を使うとより効果的です。
  • ただし、刺激の強いアルコール入りのうがい薬は避けた方が良いでしょう。

→ 傷口の清潔を保つことが、感染症を防ぐ第一歩です。

2. 患部を冷やして腫れを抑える

  • 氷を口の中に含んだり、冷たい飲み物をゆっくり飲むことで炎症を和らげます。
  • 外側から冷たいタオルを当てるのも効果的です。

→ 冷却によって血流を抑え、腫れや痛みを軽減できます。

3. 刺激の強い食べ物を避ける

  • 辛いものや酸味の強い食べ物は傷口を刺激し、痛みを悪化させる可能性があります。
  • 熱すぎる飲み物や食べ物も避けると良いでしょう。

→ 食事に気を付けることで、傷の治りを早めることができます。

4. 保湿ケアを行う

  • 口内が乾燥すると傷が治りにくくなるため、こまめに水分を摂取しましょう。
  • ワセリンやヒアルロン酸入りの口腔ジェルを使うと、粘膜の回復を助けます。

→ 口内の保湿を意識することで、治りが早くなります。

5. 傷が治りにくい場合は歯科医院へ

  • 1週間以上痛みが続く場合や、傷口が広がっている場合は、歯科医院を受診しましょう。
  • 感染や炎症がひどい場合は、抗生剤を処方されることもあります。

→ 長引く場合は自己判断せず、専門家の診察を受けることが重要です。

まとめ

口の中を噛みやすくなる原因には、歯並びや噛み合わせの問題、加齢による筋力低下、ストレスや歯ぎしり、口内の腫れ、入れ歯や被せ物の影響などが挙げられます。

しかし、適切な対策をとることで、改善することが可能です。

  • 歯科医院での健診を受ける
  • 口周りの筋肉を鍛える
  • ストレスを適切に管理する
  • 口腔内の清潔を維持する
  • 食事の際の習慣を見直す

これらを実践することで、口の中を噛むトラブルを減らし、快適な日常生活を送ることができます。

この記事の監修者

医療法人真摯会
西宮クローバー歯科・矯正歯科 院長
廣石 勝也
朝日大学歯学部卒業。大阪歯科大学総合診療科臨床研修終了。国際口腔インプラント学会会員。

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