歯と口のトラブル

歯がしみる原因とは?理由と対策

歯がしみる原因とは?理由と対策

冷たいものがしみる…これって虫歯?放っておいて大丈夫?

朝の冷たい水、アイス、熱いお茶…。
そんな“日常のひとコマ”で「キーン」と歯がしみると、誰でもドキッとしますよね。

「虫歯かも?」「でも、痛みまではないし…」
そんなふうに悩んでいる患者さん、実はかなり多いです。

でも安心してください。
“歯がしみる=すぐ虫歯”とは限らず、軽度な症状で済むケースもありますし、適切なケアや治療で改善できることがほとんどなんです。

大事なのは、「何が原因か」を知ること。
それを知れば、不安もぐっと減って、適切な対応がとれるようになります。

しみる症状を放置するとどうなる?見逃しがちな悪化のリスク

「ちょっとしみるくらいなら大丈夫」と思っていませんか?

実は、歯がしみる症状を放置してしまうと、以下のようなトラブルに発展することがあります。

歯の神経までダメージが進行する

  • 初期のうちなら知覚過敏で済むものが、虫歯や歯の破折に進むと、神経の治療が必要になります。

噛み合わせが乱れるリスク

  • 片側だけで噛むようになったり、硬い物を避けたりすると、咀嚼のバランスが崩れ、不正咬合や顎関節症の原因になることも。

歯磨きの手抜きがむしろ悪循環に

  • しみるからといって歯磨きを避けると、歯垢や歯石がたまり、歯周病や虫歯が悪化しやすくなります。
  • その結果、しみるだけでなく「噛めない」「食べられない」といった状態に進行してしまうこともあるので、早めのケアがとても大事なんです。

実は虫歯じゃなかった?歯がしみる原因はこんなにあった!

しみる=虫歯と思われがちですが、実際にはほかにもさまざまな原因があります。

よくある「しみる原因」の例

知覚過敏エナメル質が削れたり、歯ぐきが下がることで象牙質が露出し、冷温刺激が神経に伝わりやすくなる状態。

軽度の虫歯:神経に近い場所まで進行していない虫歯でも、象牙質を露出させることで刺激に敏感になります。

歯周病による歯ぐきの後退:歯の根元(象牙質)はエナメル質より弱く、ここが露出するとしみやすくなります。

過度な歯磨きや強いブラッシング圧:硬い歯ブラシやゴシゴシ磨きがエナメル質を傷つけることがあります。

歯ぎしり・食いしばり:歯に細かなひびが入り、そこから刺激が神経へ伝わることがあります。

詰め物・被せ物の劣化や不適合:古くなった詰め物の隙間から細菌や冷たい刺激が入ると、痛みやしみる症状が出ることも。

ホワイトニングや治療直後の刺激反応:一時的な刺激過敏として、施術後に一過性のしみが出る場合もあります。

原因別に見る!歯がしみる主な原因とその特徴

より詳しく、代表的な原因をそれぞれ深掘りしてみましょう。

1. 知覚過敏(象牙質知覚過敏症)

  • エナメル質が削れたり、歯ぐきが下がって歯の根元が露出。
  • 一過性の刺激で「キーン」と鋭くしみるが、すぐにおさまるのが特徴。

2. 虫歯(う蝕)

  • 歯垢の中の細菌が酸を出して歯を溶かす。
  • 進行すると持続的な痛みに変化し、冷たいだけでなく甘いものでもしみるようになる。

3. 歯周病

  • 歯ぐきが炎症を起こし、退縮することで象牙質が露出。
  • 自覚症状が出にくいため、しみて初めて気づくケースも。

4. 歯の摩耗や咬耗

  • 歯ぎしり、食いしばり、酸性飲料などによる歯のすり減り。
  • 特に前歯や犬歯に見られやすい。

5. 破折(ヒビ・クラック)

  • 肉眼では見えにくいけど、微細なヒビから刺激が伝わる。
  • 噛むとズキッとする違和感も併発することがある。

6. 詰め物・被せ物の不具合

  • 古くなったものや適合が悪い状態では、微細な隙間から刺激が神経に届く。
  • 詰め物の下で虫歯が進行しているケースもあるので要注意。

7. 治療直後の刺激反応

  • 神経に近い治療後やホワイトニング後に出る一時的な反応。
  • 数日でおさまることが多いが、長引く場合は受診が必要。

歯がしみる原因と、それぞれの対処法

しみる原因と対処

それぞれの原因に合わせて、対処法は異なります。

知覚過敏
→ フッ素塗布や知覚過敏用の歯磨き粉で症状が和らぐこともあります。

虫歯
→ 進行度に応じて、詰め物や被せ物での修復、場合によっては神経の治療が必要です。

歯周病
→ 歯垢や歯石の除去、歯ぐきのケアで改善を図ります。

摩耗・すり減り
→ 歯磨き方法の見直しや、ナイトガード(マウスピース)の使用が推奨されます。

詰め物・被せ物の不具合
→ 再治療が必要なケースもあります。

ヒビ・亀裂
→ 程度により補修や抜髄(神経の処置)が必要になることも。

いずれにしても、「これだ!」と自己判断するのは難しいので、症状が出たら早めに歯科医院での診断を受けるのがベストです。

セルフケアのポイントと、歯科医院での治療の選択肢

セルフケアと歯医者での治療

歯がしみるとき、まずできるセルフケアとしては以下のような対策があります。

力を入れすぎない歯磨きを心がける
→ 歯ブラシはやわらかめを選び、小刻みに優しく磨きましょう。

知覚過敏用の歯磨き粉を使ってみる
→ 継続使用で、刺激に対するバリアを作る成分が効果を発揮します。

温度差の大きい飲食を避ける
→ 熱いコーヒーの直後に冷たい水などは刺激になるので、注意を。

ただし、これらはあくまで一時的なケア。根本原因を取り除くには、歯科医院での専門的な処置が必要です。

「もしかして…?」と思ったら、まずは歯科でチェックを

「まだ我慢できるし…」と思っていても、実は進行していることも多いのが歯のトラブル。
特に歯がしみる症状は、軽いうちなら簡単なケアで済むことがほとんどです。

違和感を感じた時点で早めに相談することで、将来的な大がかりな治療を避けられる可能性も高くなりますよ。

まとめ

そのしみる感覚、見逃さないで

「キーンとしみるけど、まぁ大丈夫かな…」
そんなふうに、ついつい我慢してしまっていませんか?

でも、歯のSOSはとても繊細。
早めに気づいてあげれば、簡単なケアで済むことも多いんです。

知覚過敏かも?
詰め物が合ってないかも?
虫歯が隠れているのかも?

そう感じたら、それは“あなたの歯からの大事なメッセージ”かもしれません。

今、ほんの少し勇気を出して歯科医院を受診してみることで、
「もっと早く相談しておけばよかった」と感じるほどスッキリするはず。

あなたの大切な歯を守るために、
まずは一歩、踏み出してみませんか?

この記事の監修者

医療法人真摯会
西宮クローバー歯科・矯正歯科 院長
廣石 勝也
朝日大学歯学部卒業。大阪歯科大学総合診療科臨床研修終了。国際口腔インプラント学会会員。

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