虫歯

虫歯の早期発見・早期治療が必要な理由は?

虫歯の早期発見・早期治療が必要な理由は?

虫歯ははじめは歯の表面にほんの小さな穴があくだけですが、虫歯が進行すると、治療が複雑になり費用や時間がかかります。虫歯の早期発見・早期治療が必要な理由についてご説明します。

早期発見・早期治療が必要な理由

虫歯の早期発見・早期治療が必要な理由はいくつもあります。虫歯は歯の表面が酸によって僅かに溶かされることから始まり、その段階では見逃されることが多いです。しかしそのまま放置すると、徐々に進行していき、歯に大きな穴をあけることになります。

1.歯の損傷を最小限にとどめ、治療が複雑になるのを避ける

虫歯の治療では、虫歯になった部分をきれいに削り取って詰め物や被せ物で覆います。虫歯が小さい場合は削る部分も少しで済みますが、進行している場合は歯を大きく削る必要があり、根管治療や抜歯が必要なケースになると治療回数や費用が多くなります。

初期段階での治療のメリット

  • 小さな治療で済み、痛みも軽減される
  • 治療費も少なく、時間もかからない

2.痛みが出る前に治療する

虫歯が進行して歯の象牙質に達すると、時折痛みが出ることがあります。更に悪化して象牙質の内部の歯髄に達すると、ズキズキと激しい痛みが続くようになります。歯の痛みは日常生活に支障をきたし、食事でものを噛む際にも不自由を感じるようになりますので、痛みが出る前に治療するようにしましょう。

痛みが出る前に治療を受けるメリット

  • 神経まで進行する前に治療できる
  • 痛みを伴わない治療が可能になる
  • 神経を残すことができ、将来的な歯の保存が期待できる

3.早期治療で治療費を抑えて通院回数を少なくする

虫歯を初期の段階で治療すると、歯を少し削ってレジン(歯科用プラスチック)で詰めるだけですので、1日で治療が終わります。しかし歯の深い部分にまで進行している場合には、歯を大きく削り、前歯の場合には審美性を考えてセラミック等の高額な被せ物が必要になります。

4. 歯を抜かずに済むための早期治療の効果

早期発見により、進行を最小限に抑えることができます。特に歯の神経を守ることができる段階で治療を行うことで、歯の寿命を大幅に延ばすことが可能です。

早期治療で得られる効果

  • 神経を残すことで歯の感覚を保てる
  • 歯を削る量が少なくなり、歯の強度が保たれる
  • 義歯やインプラントを避けられる可能性が高い

患者さんが天然歯を健康な状態で長く保つためには、早期発見と治療が欠かせません。

全身の健康にも影響を与える虫歯のリスク

虫歯は口腔内だけでなく、全身の健康にも影響を及ぼす可能性があります。進行した虫歯は歯周病を引き起こし、それが原因で心臓疾患や糖尿病のリスクが高まるとされています。また、虫歯から感染症が広がることもあります。

全身への影響

  • 虫歯が感染症の原因となり、細菌が血液を通じて体内に広がる
  • 口腔の炎症が慢性疾患を悪化させるリスクがある

早期発見と治療は、患者さんの口腔内だけでなく全身の健康を守るためにも重要です。

初期段階の虫歯の特徴

虫歯は初期段階では痛みがないため気づきにくいのですが、いくつかの特徴がありますのでご説明します。

1.歯の表面の斑点や変色が起こる・・エナメル質が酸で溶かされると、歯の表面に白い斑点や茶色く変色した部分が現れることがあります。

2.感覚の変化・・歯の感覚が変わることがあります。冷たい飲み物や温かい食べ物に対して過敏になることがあります。

3.歯の表面がざらつく・・歯の表面が虫歯菌の出す酸で溶かされると、表面の滑らかさがなくなってザラザラしているように感じることがあります。

4.小さな穴が出来る・・歯の表面に小さな穴が出来ることがあります。これは初期の症状ですので、放っておくと穴が大きくなっていきます。

進行段階と治療方法

進行段階 特徴 治療方法 通院回数
初期段階 (C1) 歯の表面に小さな穴があく レジン(歯科用プラスチック)で詰める 1回
中期段階 (C2) 象牙質に達し、痛みが出ることがある 詰め物、部分的な被せ物 1~2回
進行段階 (C3) 歯髄に達し、激しい痛みが出る 根管治療、クラウン(被せ物) 3~5回
末期段階 (C4) 歯の根に達し、歯が壊れる 抜歯、インプラントやブリッジの装着 5回以上
虫歯の進行 4分類

早期発見のためには定期健診が重要

健診

歯の健康の為には、虫歯を早期発見し、必要な処置をすることが大切です。ごく初期の虫歯の場合は、エナメル質が溶かされて歯の表面が白濁する等のほんの少しの変化なので、歯磨きの際に鏡でチェックしても見逃されることが多いです。

定期的に歯科に通院して歯の定期健診を受けて頂くと、虫歯や歯周病にかかっていないかのチェックや予防が出来ますので、健康な歯を長く保つためには年に2~4回程度の定期健診をお勧めします。

定期健診のメリット

  • 虫歯や歯周病の早期発見
  • 歯垢の除去による虫歯の予防
  • 口腔ケアのアドバイスを受けることで、日常のケアが向上する

虫歯予防とセルフケア

歯

虫歯予防のためには毎日のご家庭でのセルフケアが大変重要になります。セルフケアのポイントを以下にご説明します。

1.正しい歯磨きの仕方

お口の中の細菌を減らして虫歯リスクを減らすには、歯磨きがきちんと出来ているかをまずチェックしましょう。歯磨きは朝晩の2回行うのが理想です。歯の表面だけでなく、奥歯の噛む面の溝や、歯と歯の間、歯と歯茎の間も丁寧に磨きます。

2.歯間ブラシ、デンタルフロスの使用

歯と歯の間は歯ブラシの毛先が入らないため、歯垢がたまって虫歯になりやすい場所です。歯と歯の間の歯垢を取り除くためには、歯間ブラシやデンタルフロスの使用が効果的です。歯と歯の間の掃除がきちんと出来るようになると、リスクはかなり下がります。

3.口腔洗浄液(マウスウォッシュ)の使用

虫歯や歯周病の予防のためには、お口の中の菌を減らして出来るだけ清潔にすることが大切です。口腔洗浄液は口腔内の細菌を減らすために効果的です。ただし、口腔洗浄液は歯磨きの代わりにはなりませんので、歯磨きに追加する形でご使用ください。

4. 糖分の制限

糖分は虫歯菌の栄養になり、虫歯菌は糖をエサにして酸を出します。お口の中に糖が少なくなると、リスクを下げることが出来ます。お菓子が好きな方は、甘い飲み物をお茶や水に替えることから始めてみませんか。

5.歯の定期健診

歯の定期健診では、虫歯や歯周病にかかっていないかのチェックと、専用の器械による歯のクリーニングを行います。定期健診を受けていると、初期の段階で見つけることが出来ますので、重症化する前に治療が可能です。

6.フッ素の利用

歯にフッ素を塗布したりフッ素入りの歯磨き粉を使うことは、予防に役立ちます。

まとめ

歯のイラスト2

虫歯は初めは小さな穴から始まりますが、進行すると治療が複雑になって時間と費用が多くかかります。そのため、早期発見・治療は大変重要です。防や早期発見のためには定期健診が役立ち、セルフケアも重要です。

この記事の監修者

医療法人真摯会
西宮クローバー歯科・矯正歯科 院長
廣石 勝也
朝日大学歯学部卒業。大阪歯科大学総合診療科臨床研修終了。国際口腔インプラント学会会員。

▶プロフィールを見る