小児矯正には1期治療と2期治療という2つのタイミングがあり、治療を開始する年齢や、目的が全く違います。子供の矯正を始めるタイミングや目的についてご説明します。
子供の矯正治療の適切な開始時期について
子供の矯正治療のタイミング
小児矯正は一般的には小学校入学のタイミングで治療を考えるのが一般的です。この時期になると上下の前歯が乳歯から永久歯に生え変わり、矯正治療に適した状態になるからです。
多くの場合、8歳から9歳頃(小学2年生~3年生)にかけてが矯正を開始する一般的な時期とされています。しかし、これはあくまで目安であり、子供によって歯の生え変わりのペースが異なるため、子供の状況に合わせた判断が必要です。
小学校入学してすぐの矯正治療はまだ早い場合もある
子供の矯正治療は、歯の生え変わりのタイミングに合わせて進められます。小学校に入学したばかりの時点では、まだ永久歯への生え変わりが進んでおらず、矯正治療を開始するには早すぎるケースもあります。
矯正の適切なタイミングを逃さないためにも、子供の口腔内の状況を把握し、適切な時期を見極めることが大切です。このため、小学生になったら一度矯正歯科に相談することをお勧めします。
子供の矯正治療
小児矯正は2つのフェーズに分けられます。
- 1期治療・・あごの骨が成長する力を利用して骨格のバランスを整え、歯が正しい位置に生えるよう誘導する。小学生の間に行われ、主に乳歯と永久歯が混在する混合歯列期に焦点を当てる
- 2期治療・・中学生以降に行われ、永久歯がすべて生え揃った後に歯並びを整える
これら2つのフェーズでは、開始する年齢や治療の目的が異なります。
1期治療の目的と適切な時期
1期治療の目的
1期治療は子供の矯正で大切な時期の治療です。この治療は子供の成長を利用して顎を広げて、永久歯がきれいに並ぶためのスペースを作るのが目的です。歯並びの問題は、歯だけでなく、顎の形にも関係しています。
この治療は子供の成長期に行うため、顎を自然に広げられます。大人の矯正と違い、子供の場合は骨が成長している間に顎を広げることで、歯がきれいに並ぶためのスペースを作ることができます。
1期治療をうけると、大人になってからの矯正治療で抜歯が必要ないこともあり、治療期間が短くなることもあります。
1期治療の開始時期
1期治療は、だいたい6歳ごろから始めます。子供によって歯の生え方は違うので、6歳という年齢にこだわる必要はありません。大事なのは子供の歯や顎の成長段階です。
6~12歳は混合歯列期と呼ばれ、乳歯と永久歯が混ざって生えています。この時期に1期治療を始めるのが普通ですが、早いほどいいわけではありません。担当医が子供の歯や顎の状態を見て、治療の始めるタイミングを決めます。
1期治療は、だいたい2~4年かかります。これは子供によって変わります。顎を拡げる治療自体は2年程度で終わりますが、歯の生え変わりが終了するまでの間は通院して頂くことが多いです。
1期治療の治療方法
子供の歯並びに対してどのような治療が必要か、その目的によって矯正装置を選びます。顎を拡げる・咬み合わせを整えるなど、子供の発育を利用しながら歯と顎のバランスを良くしていくことを中心に治療を行います。
1期治療用のマウスピースを使用する場合は、プレオルソ、インビザラインファースト等の種類がある他、簡単な体操を行うことで姿勢や呼吸を正しくして歯並びを整えていくPRO矯正という治療方法もあります。
2期治療の目的と適切な時期
2期治療の目的
2期治療は、永久歯の歯並びをきれいにするための治療です。この治療は、大人の矯正治療と同じように、ワイヤーやマウスピースなどの装置を使って行います。
1期治療で直せなかった歯並びや、1期治療をするタイミングを逃した子供が、2期治療を受けます。この治療は永久歯を正しい位置に動かしたり、かみ合わせを良くしたりすることが目的です。
1期治療が終わった後に2期治療をすることもあれば、1期治療だけで終わることもあります。また、最初から2期治療を始める子供もいます。治療のタイミングや方法は、子供によって違います。
2期治療の開始時期
2期治療は、だいたい12歳ごろに始めます。これは永久歯が全部生え揃う頃です。1期治療は6歳から12歳ごろにしかできませんが、2期治療は永久歯が全部生えた後なので、12歳以降の子供から大人まで受けることができます。つまり、2期治療の内容はほぼ大人の矯正と同じです。
治療期間は人によって違いますが、だいたい1年から3年くらいかかります。1期治療を受けた方は顎が適切な大きさに成長しているため、歯並びの微調整のみで終わり、治療期間も短く済みます。しかし1期治療を受けていない方は顎が小さいため、抜歯矯正が必要になり、2~3年の治療期間が必要になります。
子供の矯正治療のメリットとデメリット
小児矯正のメリット
子供のうちに矯正を受けるメリットには、
- 顎の成長をコントロールしやすいため、上顎や下顎の過成長を抑制し、適切な大きさに成長させられる
- 歯が動きやすい
- 適応能力が高い
- 治療費が安く抑えられる
などがあります。
小児矯正のデメリット
しかし、デメリットも存在します。
- 小児矯正は治療期間が長くなる
- 装置をつけることが子供のストレスになる
- 矯正治療中は虫歯のリスクが上がる
などが考えられます。
小児矯正の開始時期に関するQ&A
小児矯正治療は一般的に8歳から9歳頃(小学2年生〜3年生)に開始するのが一般的です。この時期は上下の前歯が乳歯から永久歯に生え変わり、矯正治療に適した状態になるためです。
1期治療の主な目的は、子供の成長を利用して顎を広げ、永久歯がきれいに並ぶためのスペースを作ることです。これにより歯並びの問題を早期に解決し、将来的な治療の必要性を減らすことができます。
2期治療は通常12歳頃、永久歯がすべて生え揃った後に行われます。この治療の目的は、歯並びを整えることと、咬み合わせを改善することです。
まとめ
小児矯正は、子供の成長段階に合わせたタイミングで開始することが重要です。一般的には6歳から始まる1期治療で顎の成長を利用して顎を適切な大きさにし、12歳頃からの2期治療で永久歯の歯並びを整えます。
治療は個々の子供の状態に応じて異なりますが、早期の治療には顎の成長をコントロールしやすい、治療費を抑えられるなどのメリットがあります。ただし、治療期間が長くなる、子供のストレスになる可能性があるなどのデメリットも理解しておくことが大切です。