虫歯

黒い初期虫歯の治し方を教えて

黒い初期虫歯の治し方を教えて

黒い初期虫歯は最初は目立たないものの、放置すれば進行してしまうため、早めの対応が重要です。黒い初期虫歯はなぜ起こるのか、どのようにして自分でケアできるのか、また歯科医院での治療法についてご説明します。

黒い初期虫歯とは

虫歯

黒い初期虫歯は、歯の表面に黒い斑点や変色が見られる虫歯の初期段階です。歯のエナメル質が酸によってわずかに溶け始め、その部分が食べ物などの色素を吸収しやすくなることで、黒く見える現象が起こります。

多くの場合、この段階では痛みは感じにくいですが、見た目の問題や、放置すると虫歯が進行して歯に穴があく可能性があるため、早めのケアが推奨されます。

初期虫歯とは?

初期虫歯(C1レベル)は、歯の表面であるエナメル質が侵され始めた段階です。この時点では、まだ歯の内部(象牙質)まで進行しておらず、適切なケアで進行を防ぐことができます。初期虫歯は、進行すると症状が現れやすくなりますが、早期の段階では自覚症状がほとんどないため、見落とされがちです。

黒い初期虫歯の原因

  1. 不十分な口腔衛生
  2. 糖分の摂取過多
  3. 歯磨きの不足や不正確な方法

初期虫歯の自覚症状と見分け方

初期虫歯はエナメル質の表面が僅かに溶かされた状態で、痛みもないため、自覚症状がないことが多いです。黒い斑点や表面が白くなるなどの歯の変色に気づいた際は、虫歯のサインとして注意が必要です。特に、歯の表面がなめらかではなく、微妙にざらざらした感触がある場合は、初期虫歯の可能性が高いです。

初期虫歯の自覚症状

初期虫歯では、エナメル質が溶け始めることで以下のような自覚症状が現れる場合があります。

1. 冷たい飲み物や食べ物に敏感になる

冷たいものが歯にしみることがありますが、強い痛みではなく、軽い違和感程度です。

2. 歯の表面に白い斑点ができる

虫歯が進行すると、エナメル質の一部が白く変色することがあります。これは、ミネラルが失われているサインです。

3. 特に痛みはない

初期虫歯では痛みを感じることはほとんどありません。痛みが出るのは、虫歯が象牙質に到達した後のことが多いです。

初期虫歯を見分ける方法

初期虫歯を早期に見つけるためには、以下の方法に注意しましょう。

1. 定期的な歯科健診

自覚症状がない段階で虫歯を発見できるのは、歯科医師の診察が最も有効です。初期段階の虫歯は、見た目では判断しにくい場合が多いため、プロによる診察が不可欠です。

2. 歯の表面に白い斑点を確認する

鏡を使って歯の表面を観察し、白く濁った部分や黒い斑点がないかチェックします。特に、歯と歯の間や、歯の裏側など、見えにくい箇所も確認しましょう。

3. お口の中の変化に敏感になる

歯のしみやわずかな違和感を放置せず、早めに歯科医師に相談することが大切です。初期虫歯の段階では治療も比較的簡単で、フッ素塗布などで進行を抑えることが出来ます。

4. 歯磨きのやり方を見直す

毎日の歯磨き習慣を見直し、虫歯ができやすい箇所、例えば歯の溝や歯と歯の間を重点的にケアします。デンタルフロスや歯間ブラシを使い、徹底した歯垢の除去を行うことで虫歯の進行を防ぎます。

黒い初期虫歯のセルフケア方法

正しい歯磨きのテクニックとは?

  • フッ素配合の歯磨き粉を使用する
  • 歯ブラシは柔らかめのものを選び、歯と歯茎を傷つけないよう優しく磨く
  • 1日2回、朝晩の歯磨きを徹底する

歯に磨き残しがあるかどうかは、定期健診の際に歯垢の染め出しを行うとはっきりわかります。歯垢の染め出し液は歯科医院や大きめのドラッグストアで販売されていますので、自宅で行うことも可能です。

食生活の改善点

  • 糖分の摂取を控え、特に就寝前の甘い食べ物や飲み物は避ける
  • 食事のたびに水やお茶で口をすすぎ、糖分が歯についたままにならないようにする

フッ素を使った予防・ケア

フッ素は歯の再石灰化を促進し、初期虫歯の進行を防ぐ役割があります。定期的にフッ素配合の歯磨き粉を使用するか、必要に応じて歯科医院でフッ素塗布を受けることが推奨されます。

歯の再石灰化とは?

歯の再石灰化は、歯の表面から唾液に溶け出したミネラルが、歯に再沈着する過程を指します。このプロセスは、歯のエナメル質の表面が僅かに損なわれた後、その修復を助ける唾液による自然な回復メカニズムの一つです。

歯のエナメル質は、主にカルシウムとリンの化合物であるハイドロキシアパタイトで構成されています。食事や飲み物に含まれる酸や、糖分を摂取した後に口内細菌が出す酸によって、ミネラルが歯から溶け出すことがあり、歯からミネラルが溶け出す過程を脱灰といいます。

再石灰化は、この脱灰の反対で、唾液中に溶け出しているカルシウム、リン、フッ素などのミネラルが歯の表面に戻り、失われたミネラルを補充することにより、歯のエナメル質を修復します。フッ素はこのプロセスを促進し、エナメル質を強化して虫歯の進行を防ぎます。

唾液の再石灰化作用により、歯は初期段階の虫歯や微小な損傷から自動的に修復され、虫歯の進行を遅らせたり防いだりすることが可能になります。しかし、石灰化は初期段階の虫歯にのみ効果的であり、大きな虫歯には適切な歯科治療が必要です。

歯科医院での治療法

歯科医院

黒い初期虫歯が見つかった場合、自己判断ではなく、専門家の診断と治療を受けることが最も確実な方法です。

歯科診療での治療オプション

フッ素塗布

初期段階の虫歯には、フッ素塗布が効果的です。フッ素が歯質を強化し、さらなる脱灰を防ぎます。歯科医院では高濃度のフッ素を扱うことが出来ますので、フッ素入りの歯磨き粉を使うよりも効果が高いとされています。

シーラント治療

初期虫歯の予防及び進行を防ぐために、奥歯の溝をプラスチック樹脂で埋める処置です。主に子供の6歳臼歯や乳歯の奥歯に行います。

子供の歯は表面が柔らかく、虫歯になってしまうと進行が速いという特徴があるため、必要に応じてシーラントを行います。シーラントは保険適用です。

定期的な歯科健診の重要性

初期虫歯の治療後も、再発しないように、定期的な歯科健診を受けることが重要です。1年間に2~4回程度の定期検診により、早期発見・早期治療が可能となり、歯を長持ちさせることができます。

家庭でのデンタルケアによる虫歯予防

洗面台

お口の中には多くの細菌が棲息しており、その中でも糖を代謝して酸を出す菌のことを虫歯菌と呼びます。虫歯菌だけを殺すことは出来ませんので、予防のためには口内を清潔にして細菌の総数を減らすという考え方が主流になっています。

日々の口内ケアのコツ

正しいブラッシング

一日に2回、特に就寝前のブラッシングを徹底しましょう。ブラッシングは、歯全体を網羅し、歯間や歯茎の境界も丁寧に磨くことが重要です。

デンタルフロスや歯間ブラシの使用

歯ブラシだけでは届かない歯間部分も清潔に保ちましょう。デンタルフロスや歯間ブラシを使って、食べかすやプラークの除去を心がけてください。

定期的な歯科検診

自覚症状がない場合でも、半年に一度は歯科検診を受けることで、初期の問題を見逃さずに済みます。

虫歯予防に効果的な食品

  • チーズ・・チーズにはリン酸カルシウムが多く含まれ、歯の再石灰化を助ける効果があります。
  • 緑茶・・カテキンが含まれており、細菌の活動を抑制する効果があります。
  • キシリトール・・キシリトールは糖アルコールの一種で、唾液分泌と再石灰化作用を促進します。また、キシリトールは酸を作らないため、歯垢中の酸の中和促進、ミュータンス菌の代謝の阻害に役立ちます。

まとめ

黒い初期虫歯を見つけた時には、自己判断せずにまず歯科で診てもらいましょう。虫歯の進行を抑え、健康な歯を維持するためには、正しい方法での歯磨き、食生活の見直し、フッ素を利用したケア、定期的な歯科健診などが欠かせません。特に虫歯を大きくしないためには、歯科の定期健診によって初期の状態で発見し、適切に対処することが大切です。

この記事の監修者

医療法人真摯会
西宮クローバー歯科・矯正歯科 院長
廣石 勝也
朝日大学歯学部卒業。大阪歯科大学総合診療科臨床研修終了。国際口腔インプラント学会会員。

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