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口呼吸と歯並びの関係性について

口呼吸と歯並びの関係性について

口呼吸と歯並びは密接に関係しています。理由として口呼吸で口が開いたままになると、舌がきちんと正しいスポットになく下方にあるため、違う点に力がかかり、歯並びが悪くなるからです。

口呼吸の歯並びへの影響

鼻で息を吸って吐くことを鼻呼吸、口で息を吸って吐くことを口呼吸と言います。子供の頃から口で呼吸をする癖があると、歯並びにも影響を及ぼします。

1. 歯列弓が狭くなる

口呼吸はお口周辺の筋肉や歯列の正常な発達を妨げる可能性があります。口呼吸を続けていると、顎や舌、頬などの筋肉が十分に使われず、顎の成長に悪影響を及ぼすことが多いです。

  • 口呼吸では、頬の筋肉(特に頬筋)の緊張が強く、内側への圧力が強くなります。
  • この圧力が歯列弓を内側に押し込み、狭窄を引き起こします。

2. 舌の位置と機能

口呼吸をしていると、舌が低い位置にとどまりがちです。これは低位舌と呼ばれ、上顎の発達が阻害されて、狭窄や高口蓋の原因となる可能性があります。

  • 正常な鼻呼吸では、舌は上顎に接して位置し、自然に上顎を広げる力を与えます。
  • 口呼吸では舌が低い位置にとどまり、上顎への圧力が不足します。これにより上顎の横方向への発達が制限されます。

3. 上顎の発達不全

適切な鼻呼吸は、舌が上顎に自然に圧力をかけることで、歯列弓の正常な発達を促します。口呼吸ではこの過程が妨げられる可能性があります。

  • 鼻呼吸は上顎洞の発達を促進しますが、口呼吸ではこの過程が阻害されます。
  • 上顎洞の発達不全は、上顎全体の成長を制限し、結果的に歯列弓を狭くします。
  • 口呼吸は高口蓋(狭く深い口蓋)の形成を促進する傾向があります。

4. 口内が乾燥して唾液の流れを阻害する

口呼吸を続けていると口腔内が乾燥しがちになり、唾液が行きわたらなくなった結果、歯列の発育に影響を与える可能性があります。

  • 口呼吸は口腔内を乾燥させ、唾液の正常な流れを阻害します。
  • これにより歯や歯肉の健康に影響を与え、間接的に歯列弓の形成に影響を及ぼす可能性があります。

5. 顔の形への影響

長期的な口呼吸は、いわゆる「アデノイド顔貌」を引き起こす可能性があり、これは歯並びにも影響します。

6. 矯正治療への影響

口呼吸の習慣は、歯科矯正治療の効果を減少させたり、治療後の再発リスクを高める可能性があります。

これらの理由から、鼻呼吸をすることは、健康な歯並びを保つ上で重要です。口呼吸の習慣がある場合は、その原因を特定し、適切に対処することが推奨されます。

鼻呼吸と口呼吸でなにが違う?

鼻呼吸と口呼吸の比較

鼻呼吸と口呼吸の違いは、主に鼻の構造と口の構造によります。

鼻呼吸の場合

鼻呼吸をしている方は空気が鼻の穴を通るため、鼻の毛や粘膜がフィルターの役割をして、細菌やウィルスの体内への侵入を防ぐ役割があります。鼻呼吸ではお口を閉じているため、口腔内が唾液で潤っています。

口呼吸の場合

口呼吸の方はお口をずっと開ける必要があり、お口ポカンの状態が続き、口呼吸の方はお口が乾燥します。口にはフィルターがないため直接のどに侵入し、乾燥から細菌感染や風邪をひきやすいです。唾液がないため虫歯や歯周病にもかかりやすくなり、重度の虫歯や歯周病になると、膿が発生するため口臭が発生してしまいます。

口呼吸を起こす原因

口呼吸になる原因として主に三つの原因が挙げられます。

アレルギー性鼻炎で鼻呼吸ができない

鼻水や鼻詰まりで鼻が塞がっていると、どうしても口で呼吸を行わなければいけません。

マスク生活が長く、鼻で呼吸がしづらい

感染症のリスク回避のため、人前ではマスクを着用するという期間がありました。マスクをしているとどうしても鼻での呼吸がしづらくなり、口で呼吸を行うことが習慣になってしまった方もおられるのではないでしょうか。

幼児期に柔らかい食べ物しか食べず口を閉じるための筋肉が発達していない

加工技術の発達により柔らかい食べ物が増え、噛む動作が必要なくなることが多くなりました。それによりお口周りの筋肉(口輪筋)が発達せず、口を閉じる筋力が弱い方もおられます。

歯並びを整えるためには顎の発達が必要

子供

歯並びを綺麗に整えるためには、大きな永久歯を並べるスペースが必要です。つまり、顎の広さが大切になります。歯の生え変わりの頃に上あごも下あごも十分なスペースがあれば、歯はきちんと生え、重なることなどありません。

鼻呼吸で顎が発達する仕組み

鼻呼吸は子供の顎が正常な大きさに発達するためには欠かせないものです。

1. 舌の位置が安定する

鼻呼吸をしているとき、口は自然に閉じられており、舌は上顎に接触した正しい位置に収まります。この舌の位置をスポットと呼び、顎の成長に非常に重要な役割を果たします。舌がスポットにしっかりと押し付けられることで、顎骨に適度な圧力が加わり、上顎と下顎がバランスよく成長することが出来ます。

  • 上顎の拡大・・舌が上顎のスポットに押し付けられることで上顎が広がり、歯が生えるための十分なスペースが確保されます。
  • 下顎の発達・・上顎が正しく成長することで、下顎もそれに合わせて前方に適切な大きさに発達していきます。

2. 正しい姿勢と筋肉のバランスが保たれる

鼻呼吸をしていると、顔や口周りの筋肉のバランスが良く保たれます。逆に、口呼吸をしていると、口を開けた状態が続くため、口周りの筋肉が緊張し、顎の発達が阻害されることがあります。鼻呼吸を続けることで、顎周りの筋肉が適度に使われ、正しい成長を促します。

  • 口周辺の筋肉のバランスが良くなる・・鼻呼吸をすることで、口を閉じる筋肉(口輪筋)が自然に使われ、顔全体のバランスが保たれます。
  • 顔の発達・・口呼吸では顔が長くなりがちですが、鼻呼吸は顔の形が自然な状態に成長します。

3. 睡眠の質と発育への影響

鼻呼吸によって睡眠の質が良くなります。成長期の子供にとって質の良い睡眠は、成長ホルモンの分泌を促進し、全身の成長や発育に繋がります。そのため、鼻呼吸は健康な顎の発達に間接的な影響を与えているといえます。

口呼吸では顎が適切に発達しない理由

口呼吸口呼吸の場合は口が開いたままになるため、舌が上顎につかず、正常な位置より下の方へ下がった状態になります。その状態では顎が適切な大きさに発達しない理由は以下のようなものです。

1. 舌の位置が不適切になる

口呼吸をしていると、口が常に開いた状態になるため、舌が自然と下がり、正しい位置(上顎のスポット)に置かれなくなります。通常、鼻呼吸をしている場合、舌は上顎に適切に接触し、その圧力によって上顎が広がり、顎の発達が促進されます。しかし、口呼吸ではこの作用がなくなるため、上顎の発達が阻害され、狭くなりがちです。

2. 下顎が後退しやすい

口呼吸では、口を開けた状態が続くため、下顎が前方に適切に発達せず、後退しがちです。下顎が後退すると、噛み合わせが悪くなり、結果として「受け口」や「開咬(前歯が噛み合わない)」のような不正咬合が起こることがあります。

3. 顔の筋肉のバランスが悪くなる

口呼吸をすると、口を常に開けた状態が続くため、口周りの筋肉(特に口輪筋)が弱くなりがちです。筋肉のバランスの悪さが顔全体の形に悪影響を与え、顎の成長を妨げる要因となります。特に、口輪筋が弱くなると、顔の下半分が細長くなりやすい傾向があります。

4. 呼吸時の姿勢が悪い

口呼吸をしていると、口を開けて呼吸をするために頭を前方に突き出すような姿勢になりがちです。口呼吸の習慣によって頭が前に出た姿勢が定着して、顎や首に負担がかかると、顎の発育が妨げられ、顔の形が変わることがあります。

5. 睡眠の質の低下により成長ホルモンの分泌に影響

口呼吸は睡眠の質を低下させることがあり、これにより成長ホルモンの分泌が減少する可能性があります。成長ホルモンは全身の成長に重要で、特に子供の顎の発達にも大きく関わっています。睡眠時に十分な成長ホルモンが分泌されないと、顎の成長が不十分になり、顔全体のバランスにも影響を与えることがあります。

まとめ

口呼吸は舌の位置を下げてしまうので綺麗な歯並びに必要な力が加わらず、感染リスクが増加します。お子さんの歯を定期的に歯科で健診を受け健康な状態を保ち、歯並びが気になる場合は早めに小児矯正を行っている歯科医院へ相談しましょう。矯正器具(拡大床、ワイヤーブラケット、マウスピースなど種類あり)の装着の他に、口腔機能療法などで歯並びを後戻りを防止するため、お口を鍛えるトレーニングを並行して行うことがあります。

この記事の監修者

医療法人真摯会
西宮クローバー歯科・矯正歯科 院長
廣石 勝也
朝日大学歯学部卒業。大阪歯科大学総合診療科臨床研修終了。国際口腔インプラント学会会員。

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