親知らずが斜めや水平に生えてきたり、スペースが不足している場合は、抜歯が必要になることが一般的です。しかし、親知らずを抜く際に一度に2本抜くことができるのか、という疑問を持つ方も少なくありません。2本一度に抜くことのメリットとデメリット、手術の流れ、術後のケアについてご説明します。
目次
親知らずを2本一度に抜く場合とは?
親知らず(智歯)は、通常、20代前半から30代にかけて生えてくる一番奥の歯です。生えるためのスペースが不足したり、斜めや水平などの異常な方向で生えてくることが多く、痛みや感染を引き起こすことがあります。
親知らずが異常な生え方をしている場合や、虫歯になってしまった場合は、親知らずの抜歯を検討することになります。
一度に2本抜歯する場合は、そう多くはありません。右側または左側の上下2本、つまり、一度に2本抜歯する場合は、どちらか片頬の上下の親知らずに限ります。左右の親知らずを一度に抜いてしてしまうと、食事が出来なくなってしまうからです。
2本一度に抜くことのメリット
親知らずを2本一度に抜くことにはいくつかのメリットがあります。
- 手術回数の削減・・一度に抜くことで、複数回の手術を避けることができます。
- 総合的な回復期間の短縮・・一度に抜くことで、回復期間を短縮できます。
- コストの削減・・一度に行うことで、診療費や交通費の削減が期待できます。
- 心理的ストレスの軽減・・手術の回数が減ることで、心理的な負担も軽減されます。
2本一度に抜くことのデメリット
一方で、デメリットも存在します。
- 術後の身体的負担の増加・・一度に2本抜くことで、術後の痛みや腫れが増す可能性があります。
- 出血リスクの増加・・出血が多くなることで、貧血などのリスクも増えます。
- 術後のケアが複雑・・複数箇所を同時にケアする必要があるため、管理が難しくなります。
- 食事の制限が厳しくなる・・複数箇所を抜くと、食事により気を付けなければなりません。
親知らずの抜歯のリスクと考慮点
親知らずの抜歯には、以下のようなリスクや考慮すべき点があります。
- 出血・・抜歯後の出血は一般的ですが、2本一度に抜くと出血量が増える可能性があります。
- 感染・・抜歯後の感染リスクは1本抜く場合と比べて増加することがあります。
- 痛み・・2本一度に抜くことで痛みが増すことがあります。
- 腫れ・・顔の腫れがひどくなる可能性があります。
- 神経損傷・・下顎の親知らずを抜く際、神経を傷つけるリスクが伴います。
これらのリスクを理解し、医師とよく相談することが重要です。
親知らずの抜歯は歯医者で可能?
親知らずの抜歯は、親知らずの生え方や歯根の形によって難易度が変わります。まっすぐに正常に生えている親知らずが虫歯になってしまったために抜歯する時は、歯の根の形状が複雑でない限りは、他の奥歯を抜く場合と変わりません。
しかし歯根の形が湾曲していたり、先がかぎ状に尖っている場合は抜くのが難しくなります。
また、親知らずの全部または大部分が歯茎に埋まっている場合は、歯茎を切って歯を取り出したり、歯槽骨を削って歯を取り出す必要があるため、病院の口腔外科での手術が推奨されます。症例によっては複数回の手術が必要な場合もあります。
下顎の親知らずの場合、歯が神経に近い場合もあり、不用意に抜歯すると神経のマヒが残ってしまうケースがあります。その場合も安全を考慮して病院の口腔外科での手術になります。
病院の口腔外科で手術を受けていただく際は、歯科医院にて紹介状を書かせていただきます。
実際の手術の流れと注意点
親知らずを2本一度に抜く際の手術の流れと注意点は以下の通りです。
- 事前準備・・事前に詳細な検査を行い、手術の計画を立てます。
- 麻酔・・局所麻酔で痛みを感じないようにします。
- 抜歯・・歯茎を切開し、親知らずを抜歯します。場合によっては、歯を分割して取り出すこともあります。
- 縫合・・抜歯後、歯茎を縫合して終了です。縫合が必要ない場合もあります。
手術後は、出血や痛みを抑えるための指示が医師から与えられます。これを厳守することが重要です。
術後のケアと回復方法
親知らずを2本一度に抜いた後のケアと回復方法についてご説明します。
- 出血の管理・・手術後数時間はガーゼを噛んで出血を抑えます。
- 痛みの管理・・痛み止めを処方されることが多いので、指示に従って服用します。
- 食事の制限・・柔らかい食事を摂り、固いものや熱いものは避けるようにします。
- 口腔衛生・・口を清潔に保ち、抗菌薬の使用を続けます。
- 安静・・手術後は安静にし、激しい運動や飲酒は避けます。
まとめ
親知らずを2本一度に抜くことは可能であり、いくつかのメリットがあります。しかし、リスクやデメリットも考慮する必要があります。また、難症例の場合は一度に2本の親知らずを抜歯することは推奨されません。
手術を決定する前に、担当の歯科医師と十分に相談し、ご自身に負担にならないような治療法を選択することが大切です。