インプラント

歯ぎしりはインプラントにリスクがある?

歯ぎしりはインプラントにリスクがある?

歯ぎしりは、インプラント治療を受けた人にとっては注意が必要です。歯ぎしりがインプラントに与えるリスクについてご説明します。

歯ぎしりとは?

歯ぎしり(ブラキシズム)は、無意識のうちに歯を強くこすり合わせたり、噛み締めたりする行為です。以下のような特徴があります。

  • 睡眠中の歯ぎしり・・多くの場合、睡眠中に発生しますので、本人が気づかないことが多いです。
  • ストレスが原因・・精神的なストレスや緊張が主な原因とされています。
  • 顎や歯に負担・・強い力が歯や顎にかかるため、顎や歯にさまざまな問題を引き起こします。

歯ぎしりがインプラントに与える影響

女性

歯ぎしり(ブラキシズム)は、無意識に行われることが多く、特に睡眠中に発生します。これにより、インプラントにさまざまな影響を及ぼす可能性があります。具体的な影響は以下のようなものです。

過度な負荷

歯ぎしりをすると大きな力がインプラントに直接かかります。これにより以下のような問題が発生することがあります。

インプラントの緩み

インプラントは顎の骨に埋め込まれて固定されていますが、過度な負荷がかかることで、その固定が緩むことがあります。特に、繰り返し行われる歯ぎしりは、インプラントを揺らし、グラグラさせる原因となります。

骨の吸収

インプラント周囲の骨は、過剰な力によりストレスを受け、徐々に吸収されてしまうことがあります。そのため、インプラントが骨の中で安定せず、最悪の場合はインプラントが抜けてしまうことがあります。

インプラントの破損

インプラント自体は金属製で頑丈に作られていますが、極端に強い力が繰り返し加わることで、インプラントにダメージを与える可能性があります。具体的には以下のようなケースがあります。

インプラント体の破損

インプラントは金属製ですが、過度な力が加わることで金属疲労を起こし、最終的には破損することがあります。

上部構造の損傷

インプラントの上に装着される人工の歯(上部構造)は、セラミックで作られることが多いですが、これらの材料は強い力に対して脆い一面もあります。歯ぎしりにより、上部構造が割れたり、欠けたりすることがあります。

インプラント周囲の組織への影響

インプラント

インプラントの周囲には、天然の歯と同様に歯周組織があります。歯ぎしりによる強い力はこれらの組織にも悪影響を及ぼします。

歯周炎のリスクが高まる

過度な力がインプラント周囲の歯肉や骨にかかると、炎症を引き起こしやすくなります。これにより、インプラント周囲炎(ペリインプラント炎)という状態が発生しやすくなります。

歯肉退縮

歯ぎしりによる力が継続的にかかることで、歯肉が退縮し、インプラントの根元が露出することがあります。これにより、見た目が悪くなるだけでなく、インプラントの安定性にも影響を及ぼします。

全体的な噛み合わせへの影響

歯型歯ぎしりは、口全体の噛み合わせにも影響を与えます。インプラントが含まれる噛み合わせに問題が起こると、以下のような症状が引き起こされる可能性があります。

他の歯への影響

歯ぎしりにってインプラントが緩むと、隣接する天然歯や他のインプラントにも過剰な力がかかり、これらの歯にもダメージを与える可能性があります。

顎関節症のリスク

不均衡な噛み合わせは、顎関節に負担をかけ、顎関節症を引き起こすリスクを高めます。これにより、顎の痛みや頭痛、耳鳴りなどの症状が現れることがあります。

心理的・身体的ストレスの影響

歯ぎしりは多くの場合、ストレスや緊張から来るものです。ストレスは歯ぎしりを悪化させ、さらなる口腔内の問題を引き起こすことが考えられます。インプラント治療後も、ストレス管理は非常に重要です。

歯ぎしりによるダメージの予防と対策

歯ぎしりそのものを治療することは難しいため、歯ぎしりによるインプラントへのリスクを軽減するためには、以下のような対策をします。

  • マウスガードの使用・・寝るときにナイトガードと呼ばれるマウスピースを装着することで、歯ぎしりによる力を緩和し、歯へのダメージを減らします。
  • ストレス管理・・歯ぎしりの原因の一つにストレスがあげられるため、ストレスを減らすためのリラクゼーション方法やカウンセリングを利用することが推奨されます。
  • 定期的な歯科健診・・定期的な歯科健診を受け、インプラントの状態をチェックし、必要に応じて調整を行います。また、歯茎に炎症が起こっている場合は、歯科衛生士によるクリーニングで歯茎の状態を改善します。

インプラントの寿命を長く保つためには

高齢者のインプラント

インプラントを長く健康に保つためには、以下のポイントを押さえておくことが重要です。

  • 毎日の口腔ケア・・歯磨きを正しい方法で行い、デンタルフロスや歯間ブラシの使用を心がけ、お口の中を出来るだけ清潔に保ちます。
  • 定期的な歯科健診・・定期的に健診を受けることで、早期に問題を発見し、対策を講じることができます。
  • 健康的な生活習慣・・バランスの取れた食事や適度な運動によって、全身の健康を維持します。

歯ぎしりは、インプラントにとって大きなリスクとなることがあります。しかし、適切な対策を行うことで、そのリスクを大幅に軽減することが可能です。インプラントを長く健康に保つために、毎日のセルフケアと定期的な歯科健診を怠らないようにしましょう。

まとめ

歯ぎしりはインプラントにさまざまなリスクをもたらしますが、適切な対策を講じることで、そのリスクを最小限に抑えることが可能です。歯ぎしりがインプラントに与える影響を理解し、ナイトガードの使用やストレス管理、定期的な歯科健診を通じて、インプラントを長く維持出来るようにつとめることが大切です。

この記事の監修者

医療法人真摯会
西宮クローバー歯科・矯正歯科 院長
廣石 勝也
朝日大学歯学部卒業。大阪歯科大学総合診療科臨床研修終了。国際口腔インプラント学会会員。

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