隠れた虫歯は、目視で確認しづらい場所に発生し、痛みや違和感が出たときにはすでに進行していることが多く、見過ごされがちです。隠れた虫歯ができやすい場所やそのリスクについてご説明します。
隠れた虫歯とは?
隠れた虫歯は、目視や日常的な歯磨きでは発見しづらい位置に発生する虫歯のことを指します。具体的には、歯の裏側や歯と歯の間、歯の根元、被せ物や詰め物の内部に隠れている虫歯等が該当します。これらの虫歯は、通常の歯磨きや自己チェックでは確認できず、症状が出たときにはすでに進行しているケースが多いため、特に注意が必要です。
特徴とリスク
隠れた虫歯は、次のような特徴があります。
1. 初期症状が少ない
虫歯は初期段階では痛みや不快感がほとんどないことが多く、自覚症状がないため、気づかないまま進行してしまうことがよくあります。
2. 進行が速い
隠れた虫歯は見つかりにくいため、発見された時には既に進行が進んでいることが多いです。特に、歯の神経に近い部位や歯と歯の間に発生した場合、進行が速く、神経に達することもあります。
3. 治療が難しくなる
見つけにくい位置にあるため、発見が遅れることが多いです。そのため、早期の段階であれば簡単な治療で済むのですが、進行が進むことで治療が複雑になり、場合によっては根管治療や抜歯が必要になることがあります。
隠れた虫歯ができやすい場所について
隠れた虫歯は、肉眼で確認しづらい場所や、日常の歯磨きでケアが難しい部分に発生しやすいです。
1. 歯と歯の間
歯と歯の間は、食べ物のカスや歯垢が溜まりやすく、歯ブラシの毛先が届きにくいため、十分に清掃できないことが多いです。特に、歯が重なって歯列がガタガタになっている場合は、重なっている部分に汚れがたまりやすくなります。
- 原因・・歯ブラシが届かないため、フロスや歯間ブラシを使用しないと、歯垢が溜まり続け、虫歯が進行しやすくなります。
- リスク・・見た目にはわかりにくく、痛みが出たときには虫歯がかなり進行していることが多いです。歯と歯の間の虫歯は、進行すると歯の神経に達しやすく、根管治療が必要になることもあります。
デンタルフロスが急に通らなくなった箇所は、虫歯が出来ている可能性がありますので、定期健診の時に必ず伝えて診てもらいましょう。
2. 被せ物や詰め物の下
被せ物や詰め物は、時間の経過とともに微細な隙間ができることがあります。この隙間から細菌が侵入し、内部で虫歯が進行することがあります。
- 原因・・被せ物や詰め物の経年劣化、微細な隙間から細菌が侵入することで、内部で虫歯が進行します。
- リスク・・外からは見えないため、進行するまで気づかないことが多いです。レントゲンにもうつりにくいため、注意が必要です。被せ物の下で虫歯が進行すると、発見が遅れることが多く、場合によってはかなり重度で、歯の保存が難しくなることもあります。
3. 歯の裏側
歯の裏側も隠れた虫歯ができやすい場所です。特に、前歯の裏側、奥歯の周囲は見えにくく、磨き残しが発生しやすい場所です。
- 原因・・歯の裏側は見えないため、磨き残しが起こりやすく、歯垢がたまって虫歯が進行しやすくなります。
- リスク・・見た目ではわかりにくいため、歯の裏側に発生する虫歯は、進行して痛みを感じることで気づく場合が多いです。
4. 歯の根元(歯と歯茎の境目)
歯茎が下がることで露出した歯の根元は虫歯になりやすいため注意が必要です。この部分は、歯磨きでのケアが難しい場所であり、虫歯のリスクが高いです。
- 原因・・歯茎が下がると歯の根元が露出し、虫歯が進行しやすくなります。また、食べ物カスがつまりやすい部分でもあります。
- リスク・・虫歯が進行すると、歯の神経に近い部分が侵されるため、痛みが強く、歯自体の損傷が大きくなる可能性があります。
5. 歯の溝や凹凸部分
奥歯の溝や凹凸部分も虫歯ができやすい場所です。これらの部分は、食べ物のカスがたまりやすく、歯磨きをしていてもしっかりと磨けていない場合が多い場所です。特に、溝が深い場合は、汚れを取り除きにくく、虫歯が発生しやすいです。
- 原因・・溝が深いと、歯ブラシの毛先が届かないため、歯磨きが難しくなり、汚れが残りやすくなります。また、奥歯は日常的に食べ物を咀嚼する部分であり、食べ物のカスがたまりやすいです。
- リスク・・溝の中で進行する虫歯は、表面上は小さく見えても、内部で大きく広がることがあります。
これらの隠れた虫歯ができやすい場所は、いずれも歯磨きでは完全に防ぐことが難しいため、定期的に歯科健診を受けてクリーニングしてもらうことが重要です。隠れた虫歯を防ぐためには、デンタルフロスや歯間ブラシを使用し、歯科医師による定期的なチェックを受けることが推奨されます。
歯が痛いのに歯医者で異常なしと言われたら
様々な検査をしても歯には異常がないのに、歯が痛む症状が出ることがあります。この場合、歯の小さなひびなどを見逃している場合と、歯以外の歯周組織が原因で痛みが起こっている場合があります。
歯以外が原因の場合を非歯原性歯痛といいますが、これには種類が多く、最終的に原因がわからないというケースもあります。
本当に歯に原因がないのかしっかり調べてもらう
歯が痛いとおっしゃる患者さんに対して、歯科医師は視診やレントゲン撮影、CTなどを用いて原因を探りますが、それでも痛みの原因がわからない場合があります。
しかし、実際に痛みが起こっているため、被せ物の下で虫歯になっていないか、歯根にひびが入って歯髄炎を起こしていないかなど、あらゆる可能性を探らねばなりません。
被せ物を外して歯の内部をチェックしたり、CT撮影が必要になる場合は、そのための費用を患者さんに負担していただく必要がありますので、どうかご了承ください。
まとめ
隠れた虫歯は、見た目ではわかりにくく、痛みが出るまで気づかれないことが多いため、早期発見と予防が重要です。定期的な歯科健診と専門的なクリーニングを受けることで、隠れた虫歯を予防することが可能です。また、デンタルフロスや歯間ブラシを活用し、日常のケアを徹底することも効果的です。