入れ歯

入れ歯は1本だけでも作れますか?

入れ歯は1本だけでも作れますか?

1本だけの歯を補うための治療法として、部分入れ歯を作ることが出来ます。その利点や課題、どのような選択肢があるのかについてご説明します。

入れ歯は1本だけでも作れる?

歯

入れ歯はすべての歯を補うための総入れ歯と、部分的に歯を失った場合に使用する部分入れ歯があり、1本だけの入れ歯も作ることが可能です。

部分入れ歯は欠損した歯を補うために、他の天然歯を支えにして使用します。この方法は、インプラントやブリッジに比べて経済的であり、簡単に取り外しができるため、日常生活に取り入れやすいという利点があります。

1本だけの入れ歯の利点と課題

女性

歯を1本だけ失った場合に入れ歯での治療を選ぶことには、次のような利点や課題があります。

利点

1. 費用が抑えられる

部分入れ歯は、インプラントやブリッジに比べて、費用が抑えられる点が大きな利点です。特に、保険適用の場合には、より安価に治療を受けることができます。また、自由診療で高品質な素材を選んでも、インプラント治療と比べて費用が軽減されることが多いです。これにより、費用面で治療を諦めていた患者さんにも適した選択肢となります。

2. 手術しなくていい

インプラント治療と異なり、部分入れ歯は手術が必要ありません。歯型を取るだけで製作できるため、手術に対する不安や体力の問題がある患者さんでも安心して治療が受けられます。高齢者や手術が難しい方にとっても、部分入れ歯は安全で負担の少ない選択肢です。

3. 取り外しが出来て衛生的

部分入れ歯は簡単に取り外しができるため、食後や就寝前に取り外して洗うことで清潔な状態で使用することが出来ます。これにより、入れ歯自体やお口の中を常に清潔に保つことができて、口臭や歯周病のリスクを減らすことが出来ます。残っている天然歯を健康な状態で長持ちさせるためにも、入れ歯の清掃は重要です。

4. 修理や調整が歯科医院で簡単に出来る

入れ歯は万が一壊れてしまっても、歯医者で修理や調整をすることが出来ます。インプラントなどの治療法では、不具合が出た場合の修理が難しく、高額な治療費がかかる場合もありますが、部分入れ歯は定期的な調整や修理がしやすい点が大きなメリットです。

課題

1. しっかりと固定させるのが難しい

部分入れ歯は他の歯を支えにして使用するため、インプラントやブリッジに比べてしっかりと固定できない場合があります。特に硬いものを噛むと入れ歯が動いてしまい、うまく噛めないことがあります。また、長期間使用していると歯茎や骨が変化して、お口の中にピッタリとフィットしなくなることがあります。その場合、歯医者での調整が必要になります。

2. クラスプが見えてしまうので見た目の問題がある

前歯に部分入れ歯を装着する場合、金属製のクラスプ(バネ)が目立つことがあります。これは、特に審美性を重視する患者さんにとって大きな問題となります。最近では、ノンクラスプデンチャーという金属を使用しない入れ歯が登場しており、審美性の向上が図られていますが、自由診療になるため費用が高くなる場合もあります。

3. 噛む力が弱い

部分入れ歯は、インプラントやブリッジに比べて噛む力が弱くなることがあります。特に、硬い食べ物や噛みごたえのある食材を食べる際には、入れ歯がずれたり、噛む力が十分に伝わらないことがあります。これは食事の満足感に影響するため、食事内容に制限が出ることもあります。

4. クラスプを引っ掛ける歯に負担がかかる

部分入れ歯は他の天然歯にクラスプを引っ掛けて使用するため、その支えとなる歯に負担がかかります。支えとなる歯が弱い場合、時間とともに負担が大きくなり、歯の寿命を縮めてしまうリスクがあります。そのため、残っている歯のケアが大切で、歯磨きを丁寧に行い、定期健診を受けることが推奨されます。

入れ歯を1本作る場合の選択肢

1本だけの入れ歯を作る場合にも、いくつかの選択肢があります。

保険の部分入れ歯

部分入れ歯

部分的に歯を失った場合に使用されるタイプで、残っている天然歯にクラスプという金属を引っ掛けて支えることができます。審美的な問題やクラスプの安定感が求められます。

ノンクラスプデンチャー

ノンクラスプデンチャー

金属を使用せずに、樹脂素材を用いる入れ歯です。見た目が自然で金属アレルギーの方にも適していますが、自費診療となります。

入れ歯1本でも必要なメンテナンスとケア

健診

1本だけの入れ歯でも、しっかりとしたメンテナンスとケアが必要です。特に、残った歯や歯茎の健康を維持するために、以下の点に注意してください。

定期的な健診

入れ歯を装着している場合でも、定期的に健診を受けることが重要です。歯茎の状態や残存歯の状態をチェックし、虫歯や歯周病にかかっていないか調べ、必要に応じて入れ歯の調整を行います。

入れ歯の清掃

食事の後は、入れ歯を外して専用のブラシで清掃し、夜間は外して丁寧に洗った後、水か洗浄剤につける必要があります。入れ歯の樹脂の部分には汚れが溜まりやすく、臭いの原因にもなります。口内環境の悪化を防ぐためにも、入れ歯のケアは欠かせません。

歯磨き

残っている天然歯も清潔に保つ必要があります。特に入れ歯のバネをかけている歯は大事にしなければなりませんので、丁寧に歯磨きを行います。

入れ歯を長持ちさせるための注意点

入れ歯のケア

1本だけの入れ歯でも、長期間快適に使用するためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。入れ歯の劣化を防ぐためには、適切な使用方法とメンテナンスが欠かせません。

定期的なチェック

入れ歯のフィット感や状態は定期的に歯科医師によるチェックが必要です。使用しているうちに歯茎の形が変わることがあり、その場合は入れ歯の調整が必要です。

噛み合わせの確認

入れ歯の噛み合わせは変わることがあり、それが原因で不具合が生じることもあります。噛み合わせのバランスが崩れると、他の歯に負担がかかることもあるため、定期的な確認が重要です。

入れ歯の扱い方

入れ歯はデリケートなものです。誤って落としたり、硬いものを噛むと割れたりすることがあります。入れ歯を取り扱う際には、必ず柔らかい布やタオルの上で行い、誤って落とした場合でも破損しないように注意しましょう。

これらの点を守りながら入れ歯を使用することで、長期間にわたって快適に使用できるだけでなく、口腔内の健康を保つことが可能です。

まとめ

1本だけの入れ歯は、部分的な歯の欠損を補うための有効な治療法であり、経済的にも負担が少なく、手術の必要がないため多くの患者さんに適しています。しかし、適切なメンテナンスとケアが欠かせず、定期的な健診や入れ歯の清掃を怠ると、口内のトラブルにつながるリスクがあります。自分に合った入れ歯を選び、しっかりとケアすることで、快適な日常生活を送ることができるでしょう。

この記事の監修者

医療法人真摯会
西宮クローバー歯科・矯正歯科 院長
廣石 勝也
朝日大学歯学部卒業。大阪歯科大学総合診療科臨床研修終了。国際口腔インプラント学会会員。

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