矯正歯科

八重歯は矯正した方がいいですか?

八重歯は矯正した方がいいですか?

八重歯は日本では、チャームポイントとして捉えられることもありますが、欧米ではオオカミの歯と言われて嫌われています。八重歯の特徴や原因、矯正治療の必要性、治療方法、そして治療を行う際の注意点についてご説明します。

八重歯とは?

八重歯

八重歯とは、歯が重なって生えている状態を指し、叢生(そうせい)と呼ばれる不正咬合の一種です。特に犬歯(前から3番目の歯)が外側に飛び出しているケースが多く見られます。このような歯並びは、見た目だけでなく、口腔内の機能や健康にも影響を及ぼすことがあります。

八重歯の原因

八重歯が生じる主な原因は以下の通りです。

顎の大きさと歯のサイズのアンバランス

顎の骨が小さい、または歯が大きい場合、歯が正しく並ぶスペースが不足し、結果として歯が重なって生えてしまいます。

乳歯から永久歯への生え変わりの問題

乳歯が早期に抜けたり、逆に長期間残ったりすると、永久歯の生える位置がずれ、八重歯の原因となることがあります。

口腔習癖

指しゃぶりや口呼吸、爪を噛むなどの習慣が、歯並びに影響を与えることがあります。

八重歯を矯正した方が良い理由

八重歯

八重歯の矯正には審美的な効果だけでなく、口腔内全体の健康や機能に影響があります。八重歯をそのままにしておくと、以下のような問題が生じる可能性があります。

1. 口腔内の清潔さを保ちやすくなる

八重歯があると、歯が重なっている部分や飛び出した部分に歯ブラシが届きにくくなります。この結果、歯垢が溜まりやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが高まります。

矯正によって歯並びを整えることのメリット

  • 歯磨きの効率アップ・・重なりがなくなることで、歯ブラシが隅々まで届きやすくなり、歯垢の蓄積を防げます。
  • 歯石の予防・・定期的な歯磨きが効果的になるため、歯石の形成を抑制できます。

2. 噛み合わせが改善される

八重歯は不正咬合の一種であり、噛み合わせに影響を及ぼすことがあります。

噛み合わせが悪いと起こりやすくなる問題

  • 食べ物を噛みにくい・・食事で十分に噛めないため消化不良の原因になることがあります。
  • 顎関節への負担・・噛み合わせが悪いと顎関節に負担をかけ、顎関節症や慢性的な痛みを引き起こす可能性があります。
  • 歯への負担増加・・一部の歯に過度な力がかかることで、歯の摩耗や破損が起きやすくなります。

矯正治療によって正しい噛み合わせを得ることで、これらの問題を防ぐことが可能です。

3. 発音がクリアになる

歯並びが整っていないと、特定の音を発音する際に影響を及ぼすことがあります。特に、「サ行」や「タ行」などの発音に支障が出ることがあります。八重歯を矯正することで、以下の効果が期待できます。

  • 発音が改善される・・矯正によって歯と舌の位置が整い、発音がスムーズになります。
  • コミュニケーションが円滑に・・発音の不明瞭さが改善されることで、話すことへの自信が高まります。

4. 心理的な負担の軽減

八重歯をそのままにしておくと、見た目にコンプレックスを抱えることがあります。これは特に、笑顔や写真撮影に対する自信の喪失につながる可能性があります。矯正治療によって次のようなメリットが得られます。

  • 自信を持って笑える・・整った歯並びによって笑顔が美しくなり、心理的な負担が軽減されます。
  • 第一印象が良くなる・・歯並びの美しさは、他人への印象にもプラスの効果をもたらします。

5. 長期的な口腔内の健康を維持できる

矯正を行うことで、歯並びが整い、歯の寿命を延ばすことにもつながります。八重歯を放置すると、次のような問題が進行する可能性があります。

  • 虫歯や歯周病の進行・・清掃しにくい部位が増えるため、口腔内の病気が進行しやすくなります。
  • 歯の早期喪失・・歯周病が起こったり、過剰な力がかかることで、歯を失うリスクが高まります。

矯正治療を通じてこれらのリスクを軽減し、長期的な口腔内の健康を維持することができます。

八重歯は見た目だけの問題ではなく、口腔内全体の健康に影響を与える要因でもあります。矯正治療を行うことで、見た目の美しさだけでなく、噛み合わせや歯磨きのしやすさといった機能面でのメリットも得られます。

八重歯の矯正治療方法

八重歯の矯正治療は、患者さんの年齢や歯並びの状態によって異なります。主な治療方法には以下のようなものがあります。

全体矯正(抜歯あり)

歯を抜いてスペースを確保した後、歯に装置を付けて全体的に歯を整列させる方法です。成人の場合は特に、抜歯が必要となるケースが多いです。

全体矯正(非抜歯)

歯を抜かずに、歯列を拡大したり、歯を後方に移動させたりしてスペースを作り、歯を整列させる方法です。顎の成長が期待できる子供の場合、非抜歯での治療が選択されることがあります。

部分矯正

特定の部位のみを矯正する方法です。ただし、八重歯の場合、歯の重なりが大きいため、部分矯正が適用されるケースは限られます。

治療を始める際の注意点

矯正治療を始める際には、以下の点に注意が必要です。

専門医への相談

矯正治療は専門的な知識と技術が必要です。信頼できる矯正歯科医に相談し、適切な治療計画を立てることが重要です。

治療期間と費用の確認

矯正治療は長期間にわたることが多く、費用も高額になる場合があります。事前に治療期間や費用について詳しく確認し、計画を立てましょう。

生活習慣の見直し

口呼吸や舌の癖など、歯並びに影響を与える習慣がある場合、治療と並行して改善することが望ましいです。

矯正治療後のケアと維持

矯正治療が終了した後も、歯並びを維持するためのケアが重要です。

リテーナーの使用

矯正装置を外した後、歯が元の位置に戻らないようにリテーナー(保定装置)を使用します。リテーナーには固定式、取り外し式の2つのタイプがあります。指示された期間、適切に使用することが大切です。

定期的な健診

定期的に歯科医院で健診を受け、歯並びの状態や口腔内の健康を確認してもらいましょう。特に、リテーナーの使用状況や歯並びの後戻りがないかを確認することが重要です。

口腔ケアの徹底

矯正治療後も、丁寧に歯磨きをしてお口の中を清潔に保つことが必要です。歯垢や歯石が溜まらないようにすることで、歯周病や虫歯を防ぐことができます。

生活習慣の見直し

治療後も歯並びを悪くするような悪い習慣が残っていると、再び歯並びが乱れてくる可能性があります。口呼吸を避け、正しい舌の位置を意識するなど、健康的な習慣を心がけましょう。

まとめ

八重歯はそのままにしておくと、見た目だけでなく、口腔内の健康や機能にさまざまな悪影響を及ぼす可能性があります。矯正治療を行うことで、歯並びが改善し、口腔内の清潔さや健康を維持しやすくなるだけでなく、自信を持って笑えるようになるなど心理的なメリットも期待できます。

矯正治療を検討する際は、専門医とよく相談し、ご自身に最適な治療方法を選択してください。また、治療後もリテーナーの装着を忘れず、適切なケアを続けることで、良い状態を長く維持することができます。

この記事の監修者

医療法人真摯会
西宮クローバー歯科・矯正歯科 院長
廣石 勝也
朝日大学歯学部卒業。大阪歯科大学総合診療科臨床研修終了。国際口腔インプラント学会会員。

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