矯正歯科

矯正治療後に注意すべき点とは?

矯正治療後に注意すべき点とは?

矯正治療を終えて美しい歯並びを手に入れた後も、適切なケアを続けることが重要です。治療後の注意点を理解し、日常生活に取り入れることで、治療効果を長期間維持できます。矯正治療後に特に注意すべきポイントについてご説明します。

後戻りを防ぐためのリテーナーの重要性

矯正治療後、歯は元の位置に戻ろうとする性質があります。これを「後戻り」と呼びます。後戻りを防ぐためには、リテーナー(保定装置)の使用が不可欠です。

リテーナーの役割

リテーナーは、矯正治療で移動した歯を新しい位置に固定し、安定させる役割を持ちます。リテーナーの装着を怠ると、歯が再び動き、治療前の状態に戻る可能性があります。

装着期間と時間

一般的に、リテーナーの装着期間は1~3年程度とされ、歯が安定するまでは1日22時間以上の装着が必要です。ただし、個人差があるため、担当の歯科医師の指示に従うことが重要です。

リテーナーの種類

マウスピースタイプ

ビベラリテーナー

透明で目立ちにくく、取り外しが可能です。ただし、耐久性が低く、破損しやすい場合があります。

フィックスリテーナー

リテーナー

歯の裏側にワイヤーを固定するタイプで、取り外しができません。見た目には目立ちませんが、歯磨きがしにくいというデメリットがあります。

プレートタイプ

リテーナー

歯の表側にワイヤーを通し、裏側はプラスチックで固定します。取り外しが可能で、後戻りを効果的に予防できますが、見た目が気になる場合があります。

日常生活の癖と歯並びへの影響

日常生活の何気ない癖が、歯並びに影響を与えることがあります。特に、以下のような習慣には注意が必要です。

  • 頬杖・・頬杖をつくと、片側の歯や顎に過度な力がかかり、歯並びが乱れる原因となります。
  • うつぶせ寝・横向き寝・・寝ている間に顔や顎に圧力がかかり、歯の位置が変わる可能性があります。
  • 口呼吸・・口呼吸は、口腔内が乾燥し、歯や歯茎に悪影響を及ぼすだけでなく、歯並びにも影響を与えることがあります。
  • 舌癖(ぜつへき)・・舌で前歯を押す癖があると、前歯が前方に移動し、出っ歯の原因となることがあります。

これらの癖を改善するためには、日常生活での意識的な取り組みが必要です。例えば、頬杖をつかないように意識したり、寝る姿勢を仰向けに変えるなどの工夫が効果的です。

お口の中を清潔に保つセルフケアのポイント

歯磨き

矯正治療後も、口腔内を清潔に保つことは大切です。特にリテーナーを使用している場合は、リテーナー自体の清掃も欠かせません。

  • 歯磨きの徹底・・毎食後に歯磨きを行い、歯垢をしっかりと除去しましょう。歯間ブラシやデンタルフロスを併用することで、歯と歯の間の清掃も効果的に行えます。
  • リテーナーの清掃・・リテーナーには歯垢が付着しやすいため、毎日専用のブラシや洗浄剤を使用して清掃しましょう。清掃を怠ると、虫歯や歯周病の原因となる可能性があります。
  • 定期的な交換・・リテーナーは使用するうちに劣化します。定期的に歯科医師の指示に従って交換や調整を行いましょう。

定期健診の重要性とその内容

健診

矯正治療後も、定期的な健診を受けることは非常に重要です。患者さんご自身では気づけない問題を早期に発見でき、歯やお口の健康を維持するためのサポートを受けることができます。

健診の頻度

矯正治療後は、少なくとも半年に一度の健診を受けることが推奨されます。ただし、個人の状況により、より頻繁に健診が必要な場合もあります。

健診での主なチェックポイント

  1. 後戻りの兆候の確認・・リテーナーが正しく機能しているか、歯が移動していないかを確認します。
  2. 虫歯や歯周病の早期発見・・矯正装置が外れた後も歯垢や歯石が溜まりやすいため、口腔内の健康状態を定期的にチェックします。
  3. リテーナーの調整・・リテーナーが歯に適切にフィットしているかを確認し、必要に応じて調整します。

歯科衛生士によるクリーニング

当院では主にエアフローを使用して患者さんのお口のクリーニングを行います。歯磨きで落としきれなかった歯垢や、歯石をきれいに除去することで、虫歯や歯周病を予防することが出来ます。

もし歯肉炎にかかっていて歯茎が腫れていたり、出血がみられる場合は、歯周病の治療を受けていただく場合があります。

食生活と歯の健康維持の関係

食物

矯正治療後の歯の健康を保つには、食生活にも配慮が必要です。特に、治療後の歯は一時的に不安定な状態であるため、食べ物による刺激が影響を与えることがあります。

避けるべき食べ物

  • 硬いもの・・ナッツや氷、硬い飴などは歯やリテーナーに負担をかけるため避けましょう。
  • 粘着性のあるもの・・キャラメルやガムなどはリテーナーに付着しやすく、清掃が難しくなることがあります。
  • 酸性の強いもの・・レモンや酢などの酸性食品は、歯のエナメル質を傷つける恐れがあります。

積極的に摂取したい食べ物

  • カルシウムが豊富な食品・・牛乳、ヨーグルト、小魚などは歯や顎の骨を強くします。
  • ビタミンCを含む食品・・野菜や果物は、歯茎を健康に保つのに役立ちます。
  • 適度な水分摂取・・水やお茶は口腔内を潤し、唾液の分泌を促すことで、虫歯や歯周病の予防に繋がります。

矯正治療後の生活習慣の見直し

矯正治療後の生活習慣を見直すことで、歯並びや口腔内の健康を長く保つことが可能です。以下のポイントに注意しましょう。

規則正しい生活リズム

ストレスや不規則な生活は、口腔内環境にも悪影響を及ぼします。十分な睡眠と栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。

正しい歯磨き習慣の確立

毎日欠かさず歯磨きを行い、歯間ブラシやデンタルフロスを活用することで、口腔内の隅々まで清潔に保ちます。

口腔内を乾燥させない工夫

口呼吸ではなく鼻呼吸を心がけ、部屋の湿度を適切に保つことで、唾液の分泌を促し口腔内の健康を維持します。

ストレス管理

ストレスは無意識の歯ぎしりや食いしばりを引き起こす可能性があります。これにより歯や顎に負担がかかるため、リラックスできる環境づくりや趣味を楽しむ時間を大切にしましょう。

まとめ

矯正治療後に美しい歯並びと健康な口腔環境を保つためには、注意すべき点を理解し、適切なケアを続けることが欠かせません。リテーナーの正しい使用、日常生活での癖の改善、適切なセルフケアや健診を受診することを通じて、矯正治療の効果を長く維持していきましょう。

この記事の監修者

医療法人真摯会
西宮クローバー歯科・矯正歯科 院長
廣石 勝也
朝日大学歯学部卒業。大阪歯科大学総合診療科臨床研修終了。国際口腔インプラント学会会員。

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