インプラント

インプラント治療に痛みや腫れは起こるの?

インプラント治療に痛みや腫れは起こるの?

インプラント治療は、失った歯を補う方法で、外科手術が必要なため手術に伴う痛みや腫れが起こる場合があります。インプラント手術中および術後の痛みや腫れの原因、持続期間、対処法、そして予防策について詳しく解説します。

インプラント手術中の痛み

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インプラント手術は通常、局所麻酔を使用して行われます。そのため、患者さんは手術中の痛みをほとんど感じません。麻酔注射時のわずかな痛みを除けば、手術自体は快適に進行します。

さらに、患者さんの不安や緊張を軽減するために、静脈内鎮静法(セデーション)という点滴麻酔を併用することもあります。この方法を使うと、リラックスした状態で手術を受けることが可能です。

術後の痛みと腫れ

手術後、麻酔が切れるとともに痛みや腫れが生じることがあります。これは、手術によって歯周組織が損傷することに対する自然な免疫・防御反応です。一般的に、術後2~3日目に腫れのピークを迎え、その後徐々に治まります。痛みや腫れの程度は、手術の内容や個人差によりますが、通常1週間程度で解消されます。

痛みの原因とその仕組み

術後の痛みの主な原因は、以下のようなものがあります。

1. 組織の切開と縫合

手術では骨にアクセスするために歯茎を切開し、インプラント埋入後に縫合します。この処置によって周囲の神経が刺激され、術後に痛みを引き起こします。

2. 骨への負荷

インプラントを骨に埋め込む際に、骨にドリルで穴を開ける必要があります。骨自体には神経がないのですが、骨への物理的な刺激が、術後の痛みの一因となります。

3. 免疫反応

手術後、歯茎は損傷を修復するために炎症を起こします。この炎症反応が痛みの感覚を強めることに繋がります。

腫れの原因と発生メカニズム

術後の腫れは、痛みと同様に自然な免疫反応の一部として現れます。主に以下の要素が腫れの原因となります。

1. 炎症反応

手術による外傷に対して、体は血液やリンパ液を患部に集めて修復を促します。その結果、腫れが発生します。

2. 血管の拡張

血管が拡張し、血液が患部に集中することで腫れが生じます。これも炎症の一環として起こる自然な現象です。

3. リンパ液の滞留

手術後、リンパ液の流れが一時的に妨げられることで、患部に腫れが目立つことがあります。

痛みや腫れの持続期間

術後の痛みと腫れは、一般的には以下のように経過します。

痛みの経過

  • 手術当日は麻酔が切れた後に軽い痛みを感じることがあります。
  • 2~3日目に痛みがピークに達し、その後徐々に和らぎます。
  • 通常、術後1週間以内にはほとんどの痛みが解消されます。

腫れの経過

  • 術後24時間以内に腫れが現れ始め、2~3日目にピークを迎えます。
  • その後、腫れは徐々に引いていき、5~7日ほどで目立たなくなります。
  • まれに、腫れが1週間以上続くことがありますが、その際は医師に相談が必要です。

痛みや腫れに影響を与える要因

痛みや腫れの程度は、手術の内容や患者さんの個別の体質によって異なります。

手術の規模

埋入するインプラントの本数が多い場合や、骨移植を伴う場合は、痛みや腫れがやや強くなる傾向があります。

患者さんの体質

痛みに対する感受性や体の免疫反応の違いにより、症状の程度が異なります。

術後のケア

適切なケアを行うことで、痛みや腫れを最小限に抑えることが可能です。冷却や薬の服用が特に重要です。

症状が長引く場合の注意点

通常、術後1週間以内に痛みや腫れは改善しますが、以下のような場合には医師に相談が必要です。

  1. 痛みや腫れが1週間以上続く
  2. 腫れが悪化する、または熱感を伴う
  3. 患部から膿や異常な出血が見られる

これらの症状は、感染症やインプラント周囲炎の可能性を示すことがあります。

痛みや腫れを軽減するための対処法

術後の痛みや腫れを最小限に抑えるためには、以下の対処法が効果的です。

処方された薬の適切な服用

医師から処方された抗生物質や鎮痛剤を指示通りに服用することで、感染予防や痛みの軽減が期待できます。

患部の冷却

術後24~48時間は、患部を冷やすことで腫れを抑える効果があります。ただし、直接氷を当てず、タオルで包んだ保冷剤などを使用しましょう。

安静と生活習慣の注意

激しい運動や長時間の入浴、飲酒は血行を促進し、腫れや痛みを増幅させる可能性があるため、術後数日は控えることが望ましいです。

術後の感染症リスクと予防策

インプラント手術後は、口腔内を清潔に保つことが重要です。適切な歯磨きやデンタルフロスの使用に加え、定期的な歯科でのメンテナンスが推奨されます。特に、インプラント周囲炎と呼ばれる感染症は、進行が早く治療が困難なため、早期発見と対処が求められます。

まとめ

インプラント治療に伴う痛みや腫れは、適切な対処とケアにより最小限に抑えることが可能です。手術前に十分な説明を受けて準備を行い、術後の適切なケアと生活習慣の見直しにより、回復期間を快適に過ごすことが出来ます。

不安や疑問がある場合は、担当医に相談し、安心して治療を受けられる環境を整えましょう。

この記事の監修者

医療法人真摯会
西宮クローバー歯科・矯正歯科 院長
廣石 勝也
朝日大学歯学部卒業。大阪歯科大学総合診療科臨床研修終了。国際口腔インプラント学会会員。

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