歯と口の基礎知識

歯は抜けたらまた生えてくるの?

歯は抜けたらまた生えてくるの?

「歯は抜けたらまた生えてくるの?」という質問に対する答えは、抜けたのが乳歯であるか永久歯であるかによって異なります。それぞれについてご説明します。

歯は抜けたら生えてくるの?

1. 乳歯の場合

乳歯が抜けるのは、通常は永久歯への生え変わりによるものです。子供が成長する過程で、乳歯は自然に抜けて、その下から永久歯が生えてきます。

乳歯が事故や転倒の際の怪我で抜けた場合は永久歯の生える位置に影響が出る場合があります。

乳歯が抜けたら永久歯が生えてくる仕組み

乳歯が抜けると、通常は永久歯が自然に生えてきます。乳歯は子供の成長に伴い、永久歯がその下から押し上げることで自然に抜ける仕組みです。この時、適切なタイミングで乳歯が抜け、永久歯が生えることが大切です。歯茎に十分なスペースがない場合、歯並びが悪くなることもあります。

乳歯が抜けるタイミングの重要性

  • 乳歯が早く抜けすぎると、永久歯がスペース不足で不適切な位置に生えてくる可能性がある。
  • 逆に乳歯が長く残りすぎると、永久歯が正しい位置に生えないリスクがある。

2. 永久歯の場合

大人の歯が抜けた場合は、下から自然に新しく歯が生えてくることはありません。そのため抜けたまま放っておくと、歯があった場所に隣の歯が倒れてきたり、噛み合う相手の歯が伸びてくることがあります。

抜けてしまった場合の治療法としては、ブリッジ、入れ歯、インプラント等があります。

乳歯と永久歯の違い

乳歯と永久歯には以下のような違いがあります。

比較項目 乳歯 永久歯
本数 20本 32本
生える時期 生後6か月頃から3歳頃まで 6歳頃から12歳頃まで(親知らずは17歳以降)
役割 大人の歯へのバトンタッチ、咀嚼、発音の補助 生涯の咀嚼、発音、顔の形の維持
生え変わり ある なし
抜けた場合の対処 永久歯が生えてくる ブリッジ、入れ歯、インプラント

歯が抜ける原因

歯が抜ける主な原因は以下のようなものです。

1. 虫歯が進行して抜歯が必要になる

重度の虫歯で歯を失うケースで多いのは、虫歯を治療せずにずっと放置していた場合と、治療済みの銀歯の下で二次虫歯が起こった場合です。虫歯が歯髄にまで到達し、神経が死んでしまった場合に、抜歯の対象になります。また、歯根の部分まで虫歯になってしまった場合に、被せ物を被せることが出来ず抜歯になります。

2. 歯周病によって歯が抜けてしまう

歯周病菌の出す毒素で歯肉が炎症を起こし、症状が進行していくと、歯を支えている骨が溶かされていきます。そうなると歯がグラグラし始めて、やがて自然に抜けてしまいます。

3. 外傷や事故による歯の破損

事故やスポーツで歯や口に強い力が加わってケガをした場合に、歯がグラグラして抜けてしまうことがあります。

4. 歯ぎしりや食いしばり

歯ぎしりや食いしばりを続けていると、歯の根が割れたり折れたりして歯を失うことがあります。

なぜ永久歯は再生しないの?

永久歯が再生しない理由は、歯の発育過程にあります。乳歯が抜けると永久歯が自然に生えてくるのは、子供から大人への成長の段階で起こります。人間の体は乳歯から永久歯への切り替えを1度しか行わないように設計されており、成人になってからは新しい歯が自然に生えるメカニズムが存在しないのです。

歯の再生が難しい理由

  • 歯の細胞は再生能力が低いため、損傷を受けた場合に自然に修復することができない
  • 歯茎や骨の損傷が原因で抜けた場合、それを自然に治癒するのは困難

歯が抜けた後のリスクとは?

歯が抜けた状態を放置すると、さまざまなリスクが生じます。歯が抜けた部分をそのままにしておくと、隣接する歯が傾いたり、噛み合わせが悪くなったりします。また、咀嚼機能が低下し、食べ物を十分に噛めなくなることがあります。さらには、顔の輪郭が変わることもあり、見た目にも影響が出る可能性があります。

歯が抜けた状態を放置するリスク

  • 歯並びや噛み合わせが悪くなる
  • 顎骨の変形や退縮
  • 食べ物をしっかり噛めなくなることによる消化不良

歯を失わないための予防

歯を失うことを避けるためには、日頃からの予防が不可欠です。定期的な歯磨きや歯垢の除去、適切な食生活を心掛けることが重要です。また、歯科健診を受けることで、歯周病や虫歯の早期発見・治療が可能になります。虫歯や歯周病を予防して健康な歯を保つために以下のようなことを心がけましょう。

1. 定期的に歯科健診を受ける

3~6ヶ月に1度の頻度で歯科の定期健診を受けると、虫歯や歯周病の初期の兆候を見つけることが出来、速やかに治療に入れるため、重症化することがありません。虫歯や歯周病の早期発見、早期治療は健康な歯を長持ちさせるための重要なポイントです。

2. 正しい方法で歯磨きする

正しい方法で毎日歯磨きすることで、歯から汚れや歯垢を取り除き、虫歯や歯周病にかかりにくくすることが出来ます。

3. バランスの取れた食事

砂糖や酸を含んだ食物の摂取を控えめにして、ビタミンやミネラルを含む食物をバランス良く食べましょう。

4. 禁煙する

タバコに含まれるニコチンなどの有害物質は、免疫機能や血流に影響を与え、歯周病を悪化させたり虫歯を進行させたりします。

歯が抜けた場合の治療法

大人の歯が抜けた場合は、速やかに歯の見た目と機能を補う必要があります。

治療法 特徴 メリット デメリット
ブリッジ 隣の歯を支えにして欠損部を補う 比較的短期間で治療完了、しっかり噛める 隣の歯を削る必要がある、支えの歯に負担がかかる
入れ歯 取り外し可能な人工の歯 比較的安価、取り外して清掃できる 装着感に違和感がある、定期的な調整が必要
インプラント 顎の骨に人工歯根を埋め込む 自然な見た目と機能、隣の歯に負担がかからない

まとめ

乳歯は子供がある一定の年齢になると自然に抜けて、その下から永久歯が生えてきます。永久歯が抜けると新しい歯はもう生えてきませんので、ブリッジ、入れ歯、インプラントなどの治療で歯の機能を補う必要があります。

歯の抜ける主な原因は虫歯、歯周病、外傷、歯ぎしり、食いしばりです。虫歯や歯周病を予防するために、定期的な歯科検診、適切なセルフケア、フッ素塗布やシーラントの利用、バランスの取れた食事、禁煙が重要です。

歯の定期健診をお受けいただくと、虫歯や歯周病の早期発見が可能になります。

この記事の監修者

医療法人真摯会
西宮クローバー歯科・矯正歯科 院長
廣石 勝也
朝日大学歯学部卒業。大阪歯科大学総合診療科臨床研修終了。国際口腔インプラント学会会員。

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